交渉で見失ってはいけない3つのポイント

2023年12月12日

「交渉」は、ビジネスにおいて欠かせないコミュニケーションスキルのひとつです。
「交渉が苦手」と思い込んでいる?あなたへ贈る、交渉力向上のためのヒント【全5回】

【第1回】交渉が苦手なあなたへ。「ハーバード流交渉術」のすすめ
【第2回】こんな時、どうする? ゼロサムゲームから脱却するために
【第3回】今すぐ使える交渉スキル①:柔道型交渉術
【第4回】交渉で見失ってはいけない3つのポイント
【第5回】今すぐ使える交渉スキル②:バルコニーに上がろう

みなさんは「囚人のジレンマ(prisoners’ dilemma)」という言葉をご存じでしょうか?
ゲーム理論の一つとして知られており、多くの学問でも取り上げられています。

相手と協力する方が協力しない時よりもいい結果になることが頭ではわかっていても、協力しない方が利益を得るような状況ではお互いに協力しなくなる、というジレンマを指す言葉です。

AとBという2人の犯罪容疑者が登場します。
2人はある犯罪に関連した容疑で警察に捕まり、別々の部屋で尋問されています(お互いに相談することができない)。
ここでAとBが取りうる選択肢は、自白するか、自白しないかの2つです。その結果としての懲罰は以下の通りです。

2人とも自白する 共に懲役5年
2人とも自白しない 共に懲役2年
一方が自白して他方が自白しなかった場合 自白した方が情状酌量により無罪となるが、自白しなかった方は懲役30年

お互いに自白して懲役5年になるよりは、互いに自白せずに懲役2年の方が得です。
しかし、2人はそれぞれ自分「だけが」釈放されたいという「利益」を追求する結果、「互いに黙秘」ではなく、「互いに自白」を選んでしまうのです。

実は、交渉の場においても同じことが言えます。
自分だけが得をする提案をしても、相手にとって利益がなければ交渉が成立する可能性は低いでしょう。反対に、相手だけが得をするような内容は、容認できません。協力しないほうが(一方が)優位になるような交渉状況では、共に協力し合うという状態は生まれませんね。

このジレンマから脱却し、お互いが取り得る利益を最大化し、交渉を有意義に進めるために、見失ってはいけないポイントを3つお伝えします。

1.「人」と「問題」を切り離す

感情的な判断を避けるために、あなた自身が客観的な立場をとることが重要です。相手の人間性や感情と実際に対峙すべき問題を切り離して考えます。

2. 立場ではなく利害に焦点を当てる

本当に満たすべき問題は何か?をよく考えます。ただ双方の主張だけを言い合うのではなく、主張の背後にある利害を明らかにし、それを満たす解決策を見つけ、その基準を客観的な指標で評価するのです。これにより、互いの立場や先入観ではなく、共通の目標に焦点を合わせることができます。

3. 双方が満足できる合意を目指す

決して安易に妥協せず、交渉がうまくいかなかった場合の代替案も事前に検討しつつ、双方が最大限の利益を得られる最適な解決策を探ることに注力します。

これらの3つのポイントを理解し実践することで、相手との信頼関係を構築し、交渉を円滑に進められるようになります。

ハーバード流交渉術は、単なる理論ではなく、具体的な問題解決のフレームワークです。誰でも学んで実践することができ、個人対個人のやりとりから対組織の交渉事まで、広範に適用可能です。ぜひ、交渉の局面でこの手法を活用し、より良い結果を得るための新たな道を模索してみてください。

まとめ

交渉において重要な3つの要点は、「人」と「問題」を切り離すこと、立場ではなく利害に焦点を当てること、そして双方が満足する合意を目指すことです。ハーバード流交渉術は具体的な問題解決のフレームワークです。理解し実践することで、信頼関係の構築と交渉の円滑化が可能となります。

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