リーダーシップとは?リーダーシップの種類や必要な資質を解説

2021年11月24日

人材開発の現場では、リーダー育成の重要性を誰もが感じていることでしょう。しかし、育成部門と現場もしくは経営層との間で、求めているリーダーシップについての認識が同じとは限りません。自社に有益となるリーダーを育成するためには、組織が必要とするリーダーシップを明確にしておく必要があります。真に求められるリーダーシップとは何か、リーダーシップの種類やリーダーに必要な要素についてお伝えします。

リーダーシップとは

ビジネスの現場ではよく「リーダーシップ」という言葉が出てきます。そもそもリーダーシップとは何を指すのでしょう。

一般的にリーダーシップとは、チームのリーダーとして、チームや組織が目標達成に向けて最大のパフォーマンスを発揮するように影響を与える能力とされています。ただし、具体的にどのように影響を与えるかについてはさまざまな議論がされており、リーダーシップを発揮するために必要な資質や能力に、絶対的な正解があるわけではありません。そのため、求められるリーダーシップは状況によって異なると言えます。

また、組織の強みや課題、ビジネス環境、部下のスキルや状態なども一様ではありません。

多様なシーンにおいて、チームのメンバー一人ひとりのパフォーマンスを高める、組織全体に刺激を与えて意欲を持たせるなどの、良い効果をもたらすことがリーダーシップの本領です。

日本では、三隅二不二(みすみじゅうじ)氏による「PM理論」がよく知られています。1966年に提唱されたPM理論とは、リーダーシップは「P機能(Performance:課題達成機能)」と「M機能(Maintenance:人間関係・集団維持機能)」の2つの能力要素で構成されているという考え方です。同理論では、P機能とM機能が共に高い水準のリーダーシップが望ましいとされています。

PM理論以後も、リーダー論やリーダーシップ論は進化を続けています。リーダーシップの変遷について詳しくは「リーダーシップとは? リーダーシップ研究の最前線を紹介」をご覧ください。
なお、リーダーシップと似た概念にマネジメントがあります。リーダーシップとマネジメントの関係については「リーダーシップとマネジメントの違い―組織にとってより重要なのは?」をご覧ください。

続いて、リーダーシップの種類を見ていきましょう。

リーダーシップの種類

近年注目されているリーダーシップの要素と種類を解説します。

近年求められるリーダーシップの要素

近年、トップダウン型やカリスマ型のような、リーダーの能力に依存するタイプのリーダーシップは求められない傾向にあります。

新たなビジネスモデルの登場や、異なる分野のサービスの融合など、変化の予測が難しい時代において、組織運営をリーダー個人の能力に依存することにはリスクが生じるからです。

また、リーダーひとりに頼るのではなく、チーム全体で責任を共有し、成長していこうという傾向も見られます。

組織人材の多様化が進んでいることも、リーダーシップ変容の一因となっていると考えられるでしょう。メンバー一人ひとりの能力・価値観・強みを生かす能力が重要になってきているのです。

以上のような背景から、トップダウン型やカリスマ型といった「けん引型」より、多様な人材一人ひとりにコミットできる「支援型」が、近年求められるリーダーシップの要素といえます。

時代が求める新たなリーダーシップについては、「個の時代」に求められる次世代のリーダーシップとはもご参照ください。

リーダーシップの種類はさまざま

多種多様なリーダーシップのなかから、最近注目されている種類を紹介します。

  • シェアド・リーダーシップ
    シェアド・リーダーシップとは、メンバー全員がリーダーシップを発揮することです。メンバー全員が良い影響を与え合うことで、組織力を高めます。リーダーの役職に就く前から、リーダーシップの視点を持てるといったメリットもあります。

    シェアド・リーダーシップについて詳しくは「注目されるシェアド・リーダーシップ―メンバー全員がリーダーになれる環境とは?」をご覧ください。

  • グロース・リーダーシップ
    各メンバーの能力、専門性、個性に対して相互作用を促し、協調性のあるチームに育てていくリーダーシップです。グロース・リーダーシップでは、共有のビジョンを提供し、メンバー間の協働を促します。協働によってチームの成果を引き出すだけでなく、メンバー各人が自律的に成長することを目指します。
    メンバーは責任共有しながら自律的に行動し、成長できるでしょう。また、めまぐるしく変化するビジネス環境の変化にも対応できる強みがあります。

    ウィルソン・ラーニングでは、グロース・リーダーシップを発揮するリーダーになるための研を提案しています。詳しくは下記からご覧ください。
    LFG 成長のリーダーシップ Leading For Growth

  • オーセンティック・リーダーシップ
    オーセンティック(authentic)とは英語で「本物の」「真正の」という意味ですが、この場合のオーセンティックは、「自分らしさ」を指します。オーセンティック・リーダーシップとは、組織ではなく「自分らしさ」を軸にしたリーダーシップのことです。周囲の評価に左右されることなく、自身の価値観や考え方、倫理観などに即してリーダーシップを発揮します。信頼を礎(いしずえ)としたリーダーシップでメンバーを導いていくことが期待されます。
  • 越境リーダーシップ
    人材開発を専門とするウィルソン・ラーニングで、変化の時代に求められるリーダーシップとして注目しているのが「越境リーダーシップ」です。
    → 詳細はこちら

働き方の変容により増す、リーダーシップの重要性

コロナ禍の現在はリモートワークが定着しつつありますが、リモートワークではコミュニケーション不足による従業員エンゲージメントの低下が懸念されています。

人は自分が何もコントロールできない状態にストレスを感じるものですが、コロナ禍においては、まさにその状態が継続しています。

そのような厳しい状況下で、働き方の急激な変容に対応が求められるいま、リーダーシップの重要性が増しているのです。

リモートワークでは、ともすれば業務が孤独化し、メンバー間の「意欲」や「連帯感」を共有しにくい状態になります。リモートワークだからコミュニケーションが難しいで終わらせず、リモートワークだからこそ、リーダーは意識してコミュニケーションの場を設けなければいけません。

ただし、多くの変容が見られる時代では、メンバー全員が責任を共有し、自律性、自発性を持たなければいけません。

そのためリーダーには、メンバーの自律性や自発性、メンバー同士の協働をサポートするような、支援型の役割が求められるのです。

リモートワークでのリーダーシップや、リーダーに必要な要素、育成のステップについては以下の資料で紹介しています。ご希望の方はダウンロードしてください。
著者に聞く! アフターコロナに求められる リーダーの在り方とは
「“リーダーになる”ということ」組織内のあらゆる階層のリーダー育成ガイド

参考記事:
リーダーシップの発揮に必要な2種類の要素とは?
80%の「受け身」従業員を生かすには?リーダーシップでエンゲージメントを高めよう!

時代の変化に伴い求められるリーダーシップも進化する

リーダーシップのゴールはチームに良い影響をもたらすことであり、その手法に正解はありません。そのため、何か1つの固定化されたリーダー像が必要なのではなく、組織や時代の変化に適したリーダーシップを考え続けることが必要だと言えます。

まずは自社が求めるリーダーシップ像を経営陣が明確にする必要があります。自社を成長に導くリーダーシップをじっくりと探っていきましょう。

ウィルソン・ラーニングでは、組織のリーダーシップの現状分析と、向上すべきポイントを明らかにするサポートを行っています。詳しくは下記からご確認ください。
LN リーダーナビゲーター Leader Navigator