リーダーシップとマネジメントの違い―組織にとってより重要なのは?

2021年12月7日

リーダーシップとマネジメントの能力はともにリーダーが身に付けるべきものですが、両者は同じではありません。ときに混同されがちですが、組織におけるリーダーはリーダーシップとマネジメント能力の違いを知り、シーンに応じて使い分けることが求められます。人材開発においては、リーダーシップとマネジメントの違いを明確にしたうえで人材を育成することが重要です。リーダーシップとマネジメントの違いを見ていくとともに、組織における重要性についても解説します。

リーダーシップとマネジメントの違いは?

そもそもリーダーシップとは何でしょうか?

リーダーシップとよく混同されるマネジメントと比較しながら、確認していきましょう。

日本で多く見られるリーダーシップのタイプは「けん引型」です。このタイプのリーダーシップは、リーダーとして組織を目標に向かって率いていくために必要な素養や力量、統率力などの包括的な能力を指します。

リーダーシップを発揮する目的と、その達成へのアプローチは次のとおりです。

  • 企業や組織における「目標」や「ミッション」の達成
  • 上記を達成するための具体的な方向性を示してチームを導く

このとき、組織が目標を達成できるよう、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といったリソースを適切に管理することがマネジメントです。

整理すると、マネジメント能力を発揮する目的と、その達成へのアプローチは次のとおりです。

  • 企業や組織における「目標」や「ミッション」の達成
  • 上記を達成するために最適な手段の模索、管理、調整を実行する

以上のことから、リーダーシップとマネジメントでは目的は同じですが、目的を果たすためのアプローチが異なることがわかります。

両者の違いについて、さらに詳しく見ていきましょう。

リーダーシップとマネジメント能力の違いは?

リーダーシップとマネジメントでは、目的を達成するためのアプローチがどのように違うのでしょうか?

リーダーシップ

リーダーシップは、未来的かつ定性的思考にもとづきます。目的達成へのアプローチではビジョンやイメージを示し、必ずしも具体的である必要はありません。長期的なビジョンや戦略を提示し、その目標に向かってチームが進めるよう集団をまとめます。

合理性や厳格さはあまり求められない一方、ビジョンの決定には高い視座や理念が重要です。また、組織をまとめるためにはメンバーからの「信頼感」が不可欠です。ときには、チームを鼓舞するような情熱や意欲も求められます。

マネジメント能力

マネジメント能力は、現実的かつ定量的思考にもとづきます。目的達成へのアプローチは具体的でなければならず、合理性も重要です。理念や視座よりも、手法を検討するための「分析能力」や、実行のためのタスク整理、スケジュール調整といった「管理能力」が必要です。メンバーの理解やフォローといった「対人能力」も必要で、かつ、冷静な判断能力も求められます。

例えば、提供するサービスについて、顧客が喜ぶこと・求めているものは何かを考え、方針を出すのがリーダーシップです。一方、サービスを提供するために必要な段取りを考え、実施体制の整備からサービスを完成へと導くのがマネジメントです。

以上のように、リーダーシップとマネジメントでは目的の達成方法が異なり、別々の要素が求められます。しかし双方は深く関連しており、どちらの能力も発揮できるのが理想的です。

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組織で求められるのはリーダーシップかマネジメントか?

リーダーシップとマネジメントはともに重要であり、どちらが優れているかを論じるべき性質のものではありません。

組織としては、成長フェーズによって重要度が変わってくることを理解しておくことが大切です。組織の成長を3つのフェーズに区分し、フェーズごとに必要な能力を見ていきましょう。

<組織の成長と管理者の役割>

フェーズ1:形成期

組織、もしくはチームが形作られ、成功パターンを見つけ成長の礎を築く時期です。新しいアイデアを出して、周囲をけん引していく必要があります。フェーズ1の初期から中期では、リーダーシップがより強く求められますが、後期では、徐々にマネジメントの重要性が高まっていきます。

フェーズ2:定常期(安定期)

組織として成功パターンが確立され、それを持続させることで成果をあげていく時期です。安定成長や事業拡大のためには業務効率化が必要になります。そのため、より重要なのはマネジメント的思考です。ただし、定常期が後期に入ると再度リーダーシップも求められるようになってきます。

フェーズ3:統合期(変革期)

組織が持続的に成長していくために、これまでの成長基盤であったビジネスを維持しながら、新しい成長曲線を立ち上げる時期です。既存のビジネスを維持しながら、新たなビジネスモデルも模索する必要があるため、リーダーシップとマネジメントの両方の思考求められる時期であり、成長のためにそのバランスが必要となります。

以上のように、組織の成長フェーズによって、リーダーシップとマネジメント、どちらがより必要とされるかが変化していくのです。現在は、成功パターンを繰り返せる期間が短期化しているため、多くの企業が常にフェーズ3におり、組織のリーダーには、リーダーシップとマネジメントのバランスが求められるようになっています。

なお、組織における役割によってリーダーを3つのレベルに分けて整理することもあります。一般社員の管理者・指導者である「初級レベルリーダー」、自業務や部門の責任者である「中級レベルリーダー」、組織全体をリードする経営幹部である「エグゼクティブリーダー」です。管理する組織の範囲をベースに捉える考え方ともいえます。

それぞれのレベルのリーダーに必要な要素や育成のステップについては以下の資料で紹介しています。
「“リーダーになる”ということ」組織内のあらゆる階層のリーダー育成ガイド
また、リモートワークにおいて求められるリーダーのあり方については以下の資料で紹介しています。
著者に聞く! アフターコロナに求められる リーダーのあり方とは

リーダーシップとマネジメントの違いを理解して人材育成に役立てよう

リーダーシップとマネジメントは、最終的な目的は同じであるため混同されがちです。混同したままリーダーにその役割を負わせていると、どちらかの能力に偏ってしまう恐れがあります。リーダー育成の際は、マネジメントとの違いを明確にして、リーダー自身が自覚的に両方の能力を身に付け、使いこなせるようにすることが必要です。リーダーシップとマネジメントの能力を備えた人材は、組織の成長フェーズがどこにあっても活躍できる、理想的なリーダーになれるでしょう。

なお、リーダーシップの定義は幅広く、今回の説明の中で一般的な例として取り上げた「けん引型」以外にもさまざまなリーダーシップの考え方・定義があります。すべてを網羅することは難しいですが、リーダーシップの定義や種類については「リーダーシップとは?リーダーシップの種類や必要な資質を解説」を、近年注目されているシェアド・リーダーシップについては「注目されるシェアド・リーダーシップーメンバー全員がリーダーになれる環境とは?」をご覧ください。