激変するビジネス環境の中、組織におけるリーダーの重要性はますます高まっています。一方、求められるリーダーシップの在り方は、時代とともに変わりつつあります。これまでと同じ視点だけでは、企業成果につながる役割を果たすリーダーを育成することが困難になってきていると言えます。
変化の早い時代においては、どのようなリーダーを育成する必要があるのでしょうか。ここでは、不確実性の高まる状況下でも一人ひとりが力を発揮できるためのマネジメントスキルと、それを確実に身に付けられる育成方法について解説していきます。
時代に合わせたリーダー育成の重要性
組織において、リーダーシップが必要とされることは過去も現在も変わりありません。しかし、市場のグローバル化、情報化社会、志向の多様化など、企業を取り巻く環境は大きく変わってきており、求められるリーダーシップの内容も変化が見られます。必要とされているリーダーシップとその役割について考えていきましょう。
求められるリーダーシップの変化
これまで主に考えられてきたような「強いけん引役」というだけでは、リーダーとしての役割が果たしづらくなっているのはみなさまもご承知のとおりです。今最も求められているのは、柔軟な思考です。企業DXに見られるような業務プロセスの改善・改革、テレワークをはじめとする働き方の多様化、社員の価値観の変化など、過去の例に倣うことのできないさまざまな変化の中、メンバー一人ひとりを孤立させず、かつ、個々の能力を活かすことでチームとしての対応力・柔軟性を高めるといった、総合力を意識した考え方が求められています。
そのための土台となるのは、メンバーとの関係づくりです。お互いの信頼性を高めながら、個々のメンバーに対して動機付けやモチベーションアップを行います。各人に合わせた手法を探り、タイムリーに適切な指示・指導をするのが現代のリーダーの役割でしょう。
リーダーシップについては「リーダーシップとは? リーダーシップ研究の最前線を紹介」で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
なお、リーダーがメンバーに対してどのようなリーダーシップを示すかは、職場風土やメンバーの自発性、業務における生産性、さらには企業へのエンゲージメントにも大きく関係します。組織内が成長意欲を刺激する環境であれば、個々のメンバーの組織へのエンゲージメント向上が期待されます。
エンゲージメントについては「エンゲージメントとは?その重要性と高めるメリット・施策例を紹介」で紹介していますので、併せてご覧ください。
リーダーには組織を活性化する役割も期待されています。先行きを見通すのが困難とされる今をチームとともに乗り越えて進むことのできるリーダーの育成は、重要な取り組みであると言えるでしょう。
リーダー育成現場の現状
リーダー育成は企業の将来に関わる大きなポイントです。リーダー育成の現状を解説します。
企業がリーダー育成に抱く課題
課題1:どのようにリーダーを育成すればよいかわからない
年次ごとに昇格する時代ではなくなったことにより、リーダーとしての経験を積む機会があまりないまま昇格している。変化の予測が難しい時代において、今求められるリーダーシップが定義されておらず、どのようにリーダーを育成すればよいかわからないなど、「リーダー育成の根幹が作れていない」というお話はよく伺います。
リーダー育成については、まず、今自社に求められるリーダーシップの定義について整理することから始めましょう。定義が整理できれば、いつまでに、誰に対して、どのように育成していくか見えてくるでしょう。また、経験を積む機会が少ない環境において、次の世代のリーダーをどう育成するか、早めに検討を始めることも重要です。
マネジメントの基本的な考え方を習得するには>>>ステージチェンジマネジメント
課題2:リーダーのコミュニケーション力が不足している
働き方の多様化により、直接メンバーと対話する機会が減少している。そのため、リーダーがメンバーの思いや悩みについて聞き、対話する機会をなかなか作り出せずにいる。また、メンバーに対してどのように伝えたらよいかわかっていないなど、リーダーのコミュニケーション能力に課題を感じているケースもあるようです。
物事や意見に対する受け止め方は人それぞれ異なります。メンバーのパフォーマンス向上のためには、個々の違いを理解し、それに応じたコミュニケーションスキルを発揮することが重要です。
課題3:指導力の不足
多様な価値観を持つメンバーに対して、指導が画一的。直接会う機会が減少していることで日頃の活動についての観察が不十分な上、メンバー一人ひとりのスキルレベルに応じた指導の重要性について理解しておらず、ポイントがずれ、大切なことがメンバーに伝わっていないなど、リーダーの指導力不足が課題というケースも多く見られます。
適切な指導を行うためには対象一人ひとりを観察し、効果的なフィードバックを行うことが必要です。しかしながら、その前に重要なことがあります。目標についてメンバーと認識を共有しておくことです。目標に対する認識に齟齬があると、観察やフィードバックのポイントがずれてしまい、メンバーの意欲向上につなげることは難しいでしょう。
目標設定・コーチングのスキルを体系的に習得>>>パフォーマンスリーダー
リーダー育成の強化が企業力向上の大きなカギとなる
企業運営による成果は、個々の社員の力が結集したものです。メンバーの成長とパフォーマンスに果たすリーダーの役割は非常に重要であり、企業や組織の成長には欠かせません。時代に適合するリーダー育成は、企業の将来性をも左右すると言っても過言ではありません。優れたリーダーシップを発揮できる人材を育てるためには、自社の必要性に合わせたリーダー育成の施策を行っていく必要があるでしょう。
ウィルソン・ラーニングでは、弊社が考える変化の激しい時代におけるリーダーとしての在り方を、ウェビナー形式で紹介しています。ぜひご活用ください。