本格的なオンライン研修をこれから始めるみなさま向けに、ウィルソン・ラーニングの研修運営スタッフが押さえておきたい基本情報をお伝えします。
【オンライン研修ことはじめ】は全4回の連載となっております。
- まず、主催側の配信環境を整えよう!
- オンライン研修実施時に「あると便利な道具・機材」
- オンライン研修の会場セッティング
- 主要Web会議ツールの特徴とメリット/デメリット
また、企業の研修をオンライン化しようとする際には、いくつかの落とし穴があるものです。
ウィルソン・ラーニングでは以前、『オンライン研修実施の落とし穴とは?』というテーマのセミナーを開催しました。
こちらでセミナーに使用したスライドをダウンロードすることができますので、研修ご担当者様はこちらもご一読ください。
こんにちは。ウィルソン・ラーニングの鈴木です。
本シリーズは、このコロナ禍の中で多くのオンライン研修のお手伝いをしてきた経験をもとに、研修運営のノウハウやちょっとしたコツ/Tipsなどを紹介しています。
これまではオンライン研修を実施する上で必要な機材やそれらの設置方法など、ハードウエア寄りの紹介をしてまいりました。4回目はオンライン研修実施の際に必須の『Web会議ツール(アプリ)』についてお伝えします。
さて、みなさんの会社ではどのWeb会議ツールを使っていますか?
私どもがお手伝いさせていただいているお客さまでは、マイクロソフト社の『Teams』やシスコシステムズ社の『Webex』、Zoomビデオコミュニケーションズ社の『Zoom』の3種が多いように感じます。
「どのオンライン会議アプリケーションが一番良いのでしょうか?」
これはお客さまとの会話に最近よく出てくるフレーズです。その質問に私が答えるとしたら、「ここ1年で各社のアプリケーションも大幅な進化を遂げていますので、機能的な差はほぼないと考えていただいて結構です。社内のシステム環境や主な利用シーンを考えて決定すれば良いのではないでしょうか」というような無難な回答をすると思います。
とはいえ、Web会議ツールには各社それぞれ特徴があり、利用シーンによってはメリットとデメリットがあるのも事実です。
今回はこのブログの趣旨でもある「オンライン研修の実施」という利用シーンに絞り、上記に挙げた『Zoom』、『Webex』、『Teams』の3種を比較しながら考えてみたいと思います。
関連資料:デジタル化・オンライン化で学びはどう変わるか? ウィルソン・ラーニングの取り組みと今後のビジョン
『Zoom』『Webex』『Teams』それぞれの機能/特徴/メリットとデメリット
Zoom | Webex | Teams | |
---|---|---|---|
提供 | Zoomビデオコミュニケーションズ | シスコシステムズ | マイクロソフト |
無料プラン | あり 時間制限40分 |
あり 時間制限50分 |
あり 時間制限60分 |
同時接続人数 (有料プラン) |
プランにより100~1000名 | プランにより150名~カスタマイズ設定可能 | 300名 |
私どものようなお客さま向けに研修を提供している人材育成/コンサルティング企業の多くはZoomを標準として利用していると思います。
これはZoomが初期から研修をオンライン化する上で重要な機能(参加者を少人数グループに分けるブレイクアウトルーム機能)を搭載していたことが大きいと感じます。
そこで、オンライン研修でよく使っている機能をZoom、Webex、Teamsの3種類のアプリケーションで比較してみました。下図をご覧ください。
多少使い勝手の違いはあるものの、現在は各アプリケーションとも現在は同等の機能を持っています。
3種使ってみての感想ですが、先行者として開発の手を止めずにアップデートを繰り返していることもあり、使いやすさなどではまだZoomが頭ひとつ抜けているように感じます。
主な機能 | Zoom | Webex | Teams |
---|---|---|---|
一画面表示最大人数 | 49名 | 25名 | 49名 |
チャット | 〇 | 〇 | 〇 |
画面共有 | 〇 | 〇 | 〇 |
ブレイクアウトルーム | 〇 | 〇 | 〇 (有料プランのみ) |
ホワイトボード | 〇 | 〇 | 〇 |
ホワイトボード投票 | 〇 | 〇 | 〇 (Forms利用) |
バーチャル背景 | 〇 | 〇 | 〇 |
レコーディング | 〇 | 〇 | 〇 |
ファイル共有 | 〇 | 〇 | 〇 |
では、実際の使用感にどのくらい違いはあるのでしょうか?
以下は私がオンライン研修で使用してみた感想です。あくまでも主観で恐縮ですが、ネット上にあるユーザーの声も同じような感想が多かったので、それほど他のみなさんの感じ方と大きな違いはないと思います。
ただ、各アプリともアップデートにより日々改善されていきますので、今現在の感想ということで参考までにご覧ください。
特徴 | Zoom | Webex | Teams |
---|---|---|---|
導入/会議主催のしやすさ | ◎ 無料版/有料版とも導入時の制約が少なく、どなたでも利用しやすい |
◎ 無料版/有料版とも導入時の制約が少なく、どなたでも利用しやすい |
〇 利用にはMicrosoftのアカウントが必要のため、Microsoft365/office365など導入済みの企業では利用しやすい |
操作のしやすさ | ◎ 直感的でわかりやすいため、どなたでも操作可能 |
〇 Zoomに近い操作感でわかりやすい |
〇 慣れていないとわかりにくいが機能はシンプルのため問題ないレベル |
画質や音質 | 〇 良い |
〇 比較的通信環境に左右されやすい |
△ 通信環境に左右されやすく映像や音声が途切れることがある |
PCへの負荷 | 〇 低い |
〇 比較的低め |
△ 高め |
日頃から3社のアプリケーションを並行して使っていると、特にZoomのインターフェースのわかりやすさとPCへの負荷の低さ(軽さ)が際立ちます。
オンライン研修の配信側は、バックグラウンドでPowerPointや動画アプリなど複数のアプリケーションを同時に立ち上げていることが多いと思うので、アプリケーション自体の軽さはとても大きなメリットです。
オンライン研修で一番ストレスなのは接続が切れたり、音声/映像が止まってしまうことです。
せっかく良い内容の研修でも、接続が安定せず「たびたび話が中断される」とか「ディスカッションの場面でもほとんど話し合えない」となると、期待された研修効果は得られなくなってしまいます。
その点からもPCへの負荷の低さはとても重要なファクターですし、結果としてネットワーク接続の安定にもつながります。
私が感じる3社のWeb会議アプリのメリット/デメリットをまとめると以下のようになります。
(こちらもあくまでも私自身の使っている上で感じた主観的な内容なのでご参考まで)
メリット/デメリット | Zoom | Webex | Teams |
---|---|---|---|
メリット | 会議主催時や参加時の手軽さと、独自の技術により他社に比べ通信量が少なく接続の安定性が高いため、ネットワーク回線が途切れにくく、音声の途切れもほとんどない。 | 最新の暗号化技術を取り入れ、他社と比べてもセキュリティーが高い。 | WindowsやMS社他アプリケーションとの親和性が高い。Outlookと連携するとスケジュール管理が容易。 |
インターフェースがわかりやすく、操作しやすい。オンライン研修で使いたい機能はひととおり網羅されている。 | Teamsのようにプロジェクトや部門などのチーム内の共有スペースを作成することができる。 Zoomと同じ機能はほぼ実装済み。 | チームごとに案件を管理して、資料の整理や進捗状況の確認などが同時進行で行える。 | |
デメリット | 頻繁に実施されるアップデートで徐々に改善されていると思うが、まだセキュリティー面で不安と言われるケースが多い。 | 人により、使い方に慣れが必要となるケースもある。またZoomと比較するとやはり重さを感じる。 | 会議主催にはMicrosoftのアカウントが必要。 PCへの負荷が高く重い。他アプリケーションと同時利用の場合はPCスペックに注意。 |
それぞれ一長一短がありますが、オンライン研修の“運営だけ”を考えると、現時点でもまだZoomが使いやすいと感じます。
ただし、オンライン研修以外の業務利用も考えると、お客さまにより社内のシステム要件やセキュリティ面での信頼度、他の社内システムとの連携など、さまざまな要素があり、重視する点も異なりますので、一概にどれがベストとは言えません。
また、当然ながらWebexやTeamsでも効果的なオンライン研修は十分実現可能ですので、それぞれのアプリケーションの特徴を理解して利用することが肝要かと思います。
その点においても、私どもはお客さまのシステム環境やご要望に合わせ、各アプリケーションそれぞれの長所を活かした最適な研修サービスの提供を日々心がけております。
ウィルソン・ラーニングでは、「オンライン研修のデザイン設計・開発」から「講師・インストラクター養成」、「オンライン研修運営のコンサルティング」など各種お手伝いするサービスを行っております。既存の集合研修のオンライン化、新規オンライン研修の企画・設計・運営など、ぜひ、お気軽に弊社営業担当までご相談ください。
鈴木 俊一
ウィルソン・ラーニングの研修運営責任者。
コロナ禍による混迷期にオンライン/オフライン交えての新しい研修のカタチをお客さまとともに模索してきた経験を武器に、ウィルソン・ラーニングで実施されるさまざまなスタイルでの研修実施を支える。