【オンライン研修ことはじめ】①まず、主催側の配信環境を整えよう!

2021年3月30日

本格的なオンライン研修をこれから始めるみなさま向けに、ウィルソン・ラーニングの研修運営スタッフが押さえておきたい基本情報をお伝えします。

【オンライン研修ことはじめ】は全4回の連載となっております。

  1. まず、主催側の配信環境を整えよう!
  2. オンライン研修実施時に「あると便利な道具・機材」
  3. オンライン研修の会場セッティング
  4. 主要Web会議ツールの特徴とメリット/デメリット

また、企業の研修をオンライン化しようとする際には、いくつかの落とし穴があるものです。
ウィルソン・ラーニングでは以前、『オンライン研修実施の落とし穴とは?』というテーマのセミナーを開催しました。
こちらでセミナーに使用したスライドをダウンロードすることができますので、研修ご担当者様はこちらもご一読ください。

【お役立ち資料】オンライン研修実施の落とし穴とは?セミナー資料

こんにちは。ウィルソン・ラーニングの鈴木です。研修運営の責任者をしております。
みなさんご承知のとおり、世界的な新型コロナウィルス感染拡大により、この1年でビジネス環境も大きく変化しました。
ウィルソン・ラーニングの主力ビジネスである研修事業についても、多くの研修がこれまでのクラスルームスタイルの集合研修から、非対面でのオンラインライブ型研修への変更を余儀なくされました。
みなさんの会社でも、研修にとどまらずふだんの会議や取引先との打ち合わせもオンラインで行うことも多くなり、日々大変ご苦労されているのではないでしょうか。

そこで、これまで試行錯誤しながら多くのオンライン研修のお手伝いをしてきた経験をもとに、少しでもみなさんの参考になるよう、(不定期連載ではありますが)研修運営の裏話やノウハウ、ちょっとしたコツ/Tipsなどを紹介してまいりたいと思います。

さて、みなさんはオンライン研修を受講したことはありますか?
読者の中にはオンライン研修を実際実施している企画・運営側の方もいらっしゃるかもしれませんね。
オンライン研修中、受講者が落ちたり、講師の声が聞こえなくなったり、固まったり・・・
「研修に集中できない」、「途切れ途切れで内容がよくわからない」、「研修の体をなしていない」なんて感じた経験はありませんか?
これらは当然ながら物理的なネットワーク環境や通信速度・トラフィックに依存する部分も確かにあります。ですが、「環境」を整え、見直すことで、トラブルを回避・低減できるということが意外に多くあるものです。ここで言う「環境」とは主に下の2つのことを指します。

  • 講師(主催者)側の「配信環境」
  • 受講者側の「受講環境」

関連資料:デジタル化・オンライン化で学びはどう変わるか? ウィルソン・ラーニングの取り組みと今後のビジョン

講師(主催者)側の「配信環境」のポイント

1. 適度な広さと快適さを兼ね備えた場所を確保する

オンライン配信とはいえ、場所はどこでも良いわけではありません。比較的長時間の配信となるケースも多いオンライン研修では、「研修運営・インストラクションしやすい会場設定」はとても重要な要素です。
オンライン研修では講師以外に技術スタッフ(システムホストなど)も同じ部屋に居る場合が多いため、複数人が一定時間滞在しても問題ない適度な広さのある、快適な空間が必要です。さらに音響や照明、外部からの騒音を防ぐといった考慮も必要です。
ウィルソン・ラーニングではライブ配信専用スタジオ(写真左)や広めの研修ルーム(同右)から、オンライン配信をしています。

2. 通信環境は複数用意する

主催側の物理的理由でのトラブルは極力避けなければいけません。
可能な限り高速なネットワークプランを利用し、後述の複数のデバイス接続は極力違う回線(メイン:有線LAN、サブ:高速Wi-Fiなど)を使うなど、万が一に備えたバックアップ環境が必要です。

3. 複数のPCや外部モニターがあると便利な理由

ウィルソン・ラーニングでは、講師用PC、システムホスト用PC以外にバックアップデバイスとして複数台のPCを用意しています。
たとえば、何らかのトラブルで講師用PCのネットワーク接続が切れた場合でも、サブPCを利用してそのまま講義を継続できるのはもちろん、トラブルがない通常時でもサブPCを受講者側の環境と同様の表示にしておくことで、受講者にどのように見えているかをリアルタイムで把握できるメリットがあるからです。

講師用PCを外部モニターやプロジェクターに接続しデュアルモニター環境を構築(講師用PCは講義用PowerPoint表示、デュアルモニターでは受講者ギャラリービュー表示)、さらに受講者環境と同じサブPCを用意することにより、より良質な配信環境を得られます。

4. ワンオペは全体のクオリティを下げる!複数人員を配置

オンライン研修を実施する際、講師の他にシステムホストと呼ばれるスタッフがいるのは前述のとおりです。もちろん講師がシステムホストを兼任し、いわゆる“ワンオペ”でオンライン研修を実施することも可能ですが、講義中にグループワークの準備(ブレイクアウト設定など)を行ったり、リアルタイムですべてのチャットに応答したりするのは非常に煩雑で難しいものですし、講義自体のクオリティにも影響しかねません。
ウィルソン・ラーニングでは、講師以外にシステムホストをスタッフとして派遣することをデフォルトとしており、さらに研修内容によっては、システムホスト以外に全体を統括するディレクターのような役割を置くこともあります。

講師は研修インストラクションに“全集中”していただき、システムホスト(およびディレクター)側で受講者入退室/ミュート管理、チャット応答、ブレイクアウトセッション管理、タイムキーパーを請け負うなど、役割分担をしています。

5. リハーサルは入念に!

リハーサルについてはなにもオンライン研修に限ったことではなく、集合研修の場合も行います。ただ、オンライン研修は集合研修にはない機器・通信トラブルが発生することも多くあるので、より慎重に行う必要があります。
ウィルソン・ラーニングでは、通信(&機器)テストも兼ねてリハーサルを必ず実施します。コンテンツの確認をしながら、同時に映像や音声に遅延がないか、聞き取りやすい音量か、画面の映り方に問題はないかなど、事前に確認しながら調整をしています。受講者のことを第一に考え、できるだけ良好な受講環境を提供できるようリハーサル以外でも講師・スタッフで何度も打ち合わせを行うこともよくあります。

以上、簡単ではありますが、主催者側の環境についてご紹介しました。
ご参考にしていただけましたら幸いです。

次回はオンライン研修実施時に「あると便利な道具・機材」についてお伝えします。

著者プロフィール

鈴木 俊一


ウィルソン・ラーニングの研修運営責任者。
コロナ禍による混迷期にオンライン/オフライン交えての新しい研修のカタチをお客さまとともに模索してきた経験を武器に、ウィルソン・ラーニングで実施されるさまざまなスタイルでの研修実施を支える。