リモート時代の新入社員研修で押さえておきたいポイントを紹介!

2021年10月26日

厳しい採用活動を経て、無事新入社員を迎えられることは企業にとってこのうえなく喜ばしいことでしょう。しかし、ここからが育成のスタートです。貴重な人材を最大限生かすためには、適切な学びの場を与え、自ら成長していけるようになってもらわなければなりません。

コロナ禍を通じて、新人教育の在り方も大きく変わりました。本記事では、リモート時代の新入社員研修担当者のヒントになる情報をお伝えします。

新入社員研修とは

新入社員研修の適切な実施に向け、目的と内容を改めて確認しましょう。

新入社員研修の目的

新入社員研修とは、新たに迎えた人材に、自社で活躍できる社員になってもらうための下地を築く目的で実施する研修です。業務を円滑に遂行するために必要な知識の習得を目的とし、主にマナーやビジネススキルに関する指導が行われます。

新入社員研修を通じ、新人社員は社内での自分の役割を把握します。新卒者の場合は、学生からの意識の切り替えの場でもあり、社会人としての基礎を確立していく最初のタイミングでもあります。

また、企業に属する一員として、社内ルールや商品・サービスの知識を学びながら自社への理解を深め、研修後に従事する業務に備えます。

新入社員研修の内容

新入社員研修で行われる内容としては、以下があります。

  • 企業理念・組織構成・各部署の役割などの説明
    新入社員研修は、自社を知ってもらうために必要な情報を提供する場でもあります。企業理念やビジョンなどが、自身の仕事にどのように結びつくのかを、研修を通して理解してもらいましょう。また、企業の組織としての構造と、各部署が担う役割や業務について説明し、社員としての素養を高めます。
  • 仕事をする上で必要な知識の習得
    業務に必要な基礎知識を身に付けます。具体的な知識やスキルは、実務を通して徐々に身に付けることになるため、研修では通常、製品やサービスの概要、パソコン操作の基礎、日々の仕事の流れといった、ごく基本的な内容の説明になります。
  • ビジネスマナーを身に付ける
    挨拶やお辞儀の仕方、敬語の使い方、身だしなみ、名刺交換、来客応対、電話応対、立ち居振る舞い、席次などの、ビジネスマナーを身に付けます。
  • 社内コミュニケーションを深める
    社内コミュニケーションに関する学びも、新人社員研修で重要な項目のひとつです。社内コミュニケーションの基本は、「報告」「連絡」「相談」(報連相)です。なぜビジネスの現場では「報連相」が重要なのかを学んだ後、正しい報連相の仕方を身に付けます。

なお、リモートワークが多い昨今では、実際の業務に就くと、社員同士のコミュニケーションが希薄になるケースが見られます。新人社員研修を利用して、同期社員や先輩達と気軽にコミュニケーションを取れるような内容も盛り込むとよいかもしれません。

これらの研修内容のうち、テキストやスライドなどを利用して、基本的な知識を座学形式で教える研修は、オンラインで十分対応可能です。しかし、ロールプレイングが必要な研修や、コミュニケーションを図る目的の場合は、対面形式でなければ十分な効果が見込めない場合があります。

オンラインと対面の研修をどのような配分で実施するかについては、事前の企画サイドによる検討が重要になります。

なお、複数の形式の研修を併用することを「ブレンディッド・ラーニング」と言います。

ブレンディッド・ラーニングの詳細について知りたい方はこちらの記事へ
コロナが変えた新人研修―最新動向と注意ポイント

新入社員研修の設計の流れとポイント

新入社員研修の設計の要点を解説します。

新入社員研修の設計の流れ

新入社員研修を設計する際の一般的な流れは以下の通りです。

1. 目的とゴール設定 現場の声や経営陣の意見を吸い上げながら、新入社員研修で得られる効果を明確にし、ゴールを設定します。
2. スケジュール確認 配属される現場との調整を行い、研修期間の長さやタイミングを決定します。
3. 具体的なプログラムの策定 プログラムの内容を決めます。また、座学、グループワーク、ケーススタディなどの手法を決め、オンラインで実施できる部分と対面研修の配分も考えます。続いて、プログラムに沿って講師役を決定します。必要に応じて外部講師の依頼やeラーニングの導入なども検討します。
4. 新入社員研修を告知 受講者と配属先上長に対して新入社員研修の案内をします。
5. 研修実施 研修を実施します。
6. 振り返り アンケートを実施して、報告書を作成します。新人社員が業務に就いた後、一定期間を置いて研修の効果を追跡調査し、必要に応じて追加研修を行います。調査結果は、本人の育成計画および今後の新入社員研修に活用しましょう。

新入社員研修設計のポイント

コロナ禍によって生活様式が大きく変わった現在、従来の対面方式で新入社員研修のすべてを実施することが難しくなっています。研修の設計を行うにあたり、オンラインか、対面か、併用するのかをしっかりと決めておく必要があります。

また、すべて自社内製とするのか、外部に依頼するのかの選択も重要です。社内の負担やコスト面、カリキュラムの専門性を考え、十分に検討します。研修内容によっては、内製と外注との組み合わせが効率的な場合もあります。

なお、新入社員研修は、内定段階から開始することを想定します。入社前から現場に出るまでの段階的な設計をすることで、無理のないスケジュールの実施が可能です。

リモートワーク時代の新入社員研修を成功させるための参考資料として、ウィルソン・ラーニングの新人育成に関する考え方やソリューション事例、実施方法をご紹介したセミナー登壇資料がダウンロード可能です。
どうする?どうなる?これからの新人育成①
どうする?どうなる?これからの新人育成②

新入社員研修で使われる教育方法

新入社員研修の教育方法には、さまざまなものがあります。オンラインでも可能な手法と難しい手法がありますので、合わせて把握しておきましょう。

  • 座学
    研修を受ける新人社員が一堂に会し、講師がテキストやスライドなどを使用して講義をする、ごく一般的な方法です。オンラインでも容易に実施できます。
  • グループワーク
    グループ単位で課題に取り組む方法です。グループ内で協力して一からアイデアを出し何かをつくり上げる形式、正解がない課題に対して解決策を見出していく形式など、さまざまな方法があります。Web会議システムを活用すれば、オンラインでも実施できます。
  • ケーススタディ
    実際の業務で起こり得る事例について、解決策や対処法を考える方法です。座学で学んだことに対し、課題を見出すことで習得状況の確認にも利用できます。オンラインでも実施可能です。
  • ロールプレイング
    「取引先と社員」「顧客と社員」など実際の業務における役割を、2人1組になって演じます。実際の業務が対面の場合は対面で行うのが理想的ですが、実際の業務がリモート商談となる場合は、オンラインで行うと、それが実践的な訓練になります。
  • OJT
    実務のなかで、上司や先輩社員が必要な知識やスキルを教える方法です。オンラインでは実施が難しい側面もありますが、Web会議システムを活用して、特定の事務作業を教えたり、必要なシステムの操作方法を教えたりすることは可能です。

ウィルソン・ラーニングでは、OJTに取り組む際のポイントやスキルが習得できる研修を用意しています。
OJTSS OJTリーダー⽀援セッション OJT‐Leader Support Session

新入社員研修実施に向けた注意点

新入社員研修の実施に当たっての注意点です。

  • 研修期間内に疑問はすべて解消できるような体制を敷く
    研修では、質問しやすい環境を整えたり、研修後のレポートに質問があれば記載するよう促したりすることで、疑問点をすぐに解消する習慣づけをします。特にリモート環境では、実際の業務に入ると、ちょっとした質問がしにくいことが考えられます。オンラインツールを活用しながら、新入社員が不安を感じずに済むような研修環境を提供しましょう。
  • 目的に沿った研修内容
    企業全体で必要人材を育成するという目的に合わせ、手法を選択します。営業担当・企画担当など、部署ごとで求められるスキルが異なるため、グループ別に細分化・特化した研修も検討します。オンラインでどこまで実施可能かも含めて、効果を予測しながら設計する必要があるでしょう。
    注意しなければならないのは、研修を企画する立場の人の学びやすい手段と研修を受講する側の学びやすい手段がずれていることに気づいていないケースが多いということです。目的を達成するために、必要な参加者分析に基づいてどのような内容をどのような手段で提供するのかは十分に検討する必要があります。そのためにも、今年の新入社員から意見をもらうなど、参加者目線に立った振り返りと企画が必要になります。
  • 座学だけで終わらせない
    知識の習得が実際の業務に生かせる研修となることが重要です。特にオンライン研修になると、オンラインでも実施しやすい座学形式に偏りがちですが、一方向的な座学形式だけでは、成果が見込めない場合があります。Web会議システムを活用してグループワークやケーススタディも取り入るなど、インプットした内容を実際の業務でアウトプットできるような方法を検討しましょう。
  • 仕事へのモチベーションを低下させないよう振り返りを行う
    たとえば研修中に失敗があっても、業務に生かす改善策を示すことで、自信を回復しやる気のある社員が育つ可能性があります。実務への準備段階として、研修内容を生かせるよう、適切なアドバイスを心がけましょう。

リモート時代に即した成果を出す土台作りを

新入社員研修は、自社への理解を深め、具体的な業務への取り組みを円滑に進めるための知識を養う場であることが求められます。同時に、社員としてどのように行動すべきかを、自身で考え実践していける土台づくりの場でもあります。実施する側は、新入社員研修を通じて、仕事へのやる気を引き出し、モチベーションを高めて現場へと向かわせる心構えが必要です。リモート時代に実施する研修では、オンラインと対面、どちらの形式をどのように配分するのかを考えることも極めて重要です。

ウィルソン・ラーニングでは、若手社員の育成支援のためのプログラムもご用意しています。
ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。