営業マネジメントの陥りやすい課題とは? 改善に向けた企業の取り組み方を解説

2022年4月12日

営業担当者にとって営業マネジャーは、指針を示し成果を確実にしていくための力強いサポート役です。しかし現実的には、営業マネジャーのマネジメント能力に対して不安を抱いている企業も少なくありません。営業マネジャーをより信頼性の高いコーチ役として育てていくために、企業はどのような取り組みをしていけばよいのでしょうか。

今回は営業マネジメントにおいてよく見られる悩みに焦点を当て、マネジャー育成の重要性を再度確認しながら、解決の方法を解説します。

営業マネジャーに対する企業の悩みとその対策

営業マネジャーに対して企業はどのような悩みを抱えているのか、その対策と併せて考えていきましょう。

悩み1:営業成績の良いメンバーをマネジャーに任命したがマネジメントがうまく機能していない

優績者をマネジャーにアサインしたがうまくいかない、あるいは相性の良し悪しで上司部下共に苦労しており、結果的に成績も伸び悩んでしまうということが起きています。
また、本人にうまくいっていない自覚があっても「自分ならばもっとできるのに」「部下自身のやり方がまずいからだ」「(部下の)努力不足だ」など相手側に責任を求めてしまい、部下から反発されてしまうというケースも。

  • プレーヤーから管理職への意識変革(ステージチェンジ)を促そう
    特に初任者に多いケースですが、「人をマネジメントすること」に対する理解が不足していると、自分自身の成功体験しか寄って立つところがなく、結果として自分が良いと思う手法をそのまま部下に押し付けてしまうということが起こります。
    また、自分ができていたことに対して人が苦戦している理由が理解できないことも、優秀なビジネスパーソンにはありがちです。部下の悩みや困っているポイントを想像できない。なぜ自分ができていたのか適切なフィードバックを得る機会がなかったために、的確な指示やアドバイスができない状況です。
    優績者を管理職に抜擢することはよくあることですが、第一線のプレーヤーとして優秀だったからといって、優れたマネジャーに自動的になるわけではありません。役割に応じた教育が必要です。新しい役割に対しての意識変革ができていないとこのようなことが起きます。
    マネジメントの基礎を学び、管理職としての意識変革を促すことができれば、部下へ向ける目や期待の伝え方、コミュニケーションの方向が変わります。

マネジメント「される側」から「する側」へ>>ステージチェンジマネジメント

悩み2:営業マネジャー向けの研修で成果が出ないため見直したいが、どこを改善すればいいかわからない

営業マネジャーを育成するための研修を実施しているにもかかわらず、現場での成果が上がらないというケースです。一般的に良いとされている手法を採用しており、特に問題があるようにも思えないが結果につながらない、あるいは過去には確かに感じられた効果がここ数年思うように出なくなった、というパターンもあります。

  • まずは現状を把握しよう
    研修の問題点を探しても成果につながるとは限りません。
    まずは、自社の営業マネジャーの現状を測定・診断し、可視化してはいかがでしょうか。現状を正しく認識できさえすれば、後は足りているところはより伸ばす、不足している点を集中的に補うといった形で必要な学習を取り入れればよいのです。

リーダーシップと現状を調査>>リーダーナビゲーター

悩み3:そもそも営業マネジャー向けの研修をしておらず、人依存の状態が続いている

先人のやり方を真似る、あるいは研修は行わず、個々の考えに基づきマネジメントをしているという企業のお悩みは、マネジメントが属人化してしまうという点です。組織として統一した考えに基づく営業マネジャー育成が難しく、優秀なマネジャーが孤立し、離職に至ることもありえます。

  • 人依存からの脱却を。組織全体で共通認識をつくることが優れたマネジャー育成への第一歩
    人依存から抜け出すためには、共通認識を培うことが重要です。「部下に意図を伝えて行動を促す」ということひとつとっても我流で行うのとマネジメントスキルを意識して使うのとでは結果が異なります。
    個人の経験頼りのマネジメントから抜け出るために、まずは、現マネジャーにも新任マネジャーにも「営業マネジメントの基本」を認識していただきましょう。マネジャーとは単なる「管理」者ではなく、部下の伴走者的存在として関わることが重要だと学んでもらうのです。
    もちろん企業側には、良い営業担当者=優れたマネジャーになるとは限らないことをしっかりと理解した上で、営業マネジャーの育成に取り組んでいく体制づくりを進めることが求められます。

営業マネジメントの基本的な知識については、「営業マネジメントとは? 実践に欠かせない4つの項目と3つのスキル

原理原則を学ぶことで営業マネジメントの課題を解決する

繰り返しになりますが、ここまで見てきたような営業マネジメントのお悩みを解決するには、営業マネジャー個人の経験や知識、感覚のみに任せるのではなく、マネジメントの原理原則やコーチングの方法を提供することが重要です。特に初任時には営業マネジャーという新たな役割に対する認識合わせをするとともに、自身が何を身に付けなければならないか自覚を促すことが求められます。

営業マネジメントの基本的な考え方をしっかりと根付かせるためには、客観性のあるマネジメント理論を学ぶ機会を与える必要があります。マネジャーとして学ぶべき内容には、主に以下が挙げられます。

  • 目標設定とそれに従った営業活動のサポートの方法
  • フォローの仕方
  • 顧客への提案力の強化
  • 上記を円滑にしていくための部下との信頼関係の構築
  • コーチングスキルの修得

マネジメントに対する認識を共有することで、営業マネジャー間の意識統一を図り、マネジメントの標準化を確立することが可能となります。

マネジメントの標準化のためには、マネジャー研修内容の見直しと実施を検討することも有効です。

マネジメント研修では、マネジメント理論とその実施を体系的に学べ、確実に営業マネジメントスキルを身に付けられることを重視します。また一度の研修で終わりにするのではなく、マネジャーに対するコーチング体制を整備していくことも必要でしょう。

自社で難しいと思われる場合には外部サービスを活用し、プロのアドバイスを受けながら、客観性があり効果の高いカリキュラムを組むといった方法もあります。

営業マネジャーの理想的なコーチングについてのウィルソン・ラーニングの考え方を、ウェビナー形式でご紹介しています。ぜひご覧ください。
成長機会を奪う「良かれと思ってコーチング」