アフターコロナに重要性が増すリードナーチャリングとは

2021年1月26日

新型コロナウイルスの影響で、営業/マーケティング活動は大きな変化を迎えました。顧客オフィスを訪問しての面談や展示会での新規開拓といった従来の手法が封じられるなか、Webを活用して「リード」と呼ばれる見込み顧客の情報をいかに獲得するかが重要になってきています。

しかし、コンテンツマーケティングなどの手法を駆使して新規リードの獲得に成功したとしても、せっかく獲得したリードをそのまま放置してしまっては商談につながりません。

本記事では、獲得したリードに対してより有益な情報を提供することで、自社の商品・サービスの購入意欲を高めていく手法である「リードナーチャリング」について解説します。

また、リードナーチャリングを進めるにあたっては、マーケティングと営業の連携が欠かせません。特にアフターコロナにおいてはどのような連携が必要になってくるのか?
こちらのEbookにまとめてありますので、併せてご一読ください。

アフターコロナに求められるマーケティングと営業の連動強化

関連情報

ニューノーマル時代のコンテンツマーケティングとは
新規リード獲得におけるコンテンツマーケティングの有用性について解説した記事。マーケティングと営業が連携すること、獲得リードの属性の共有やアプローチ戦略の共創の重要性をお伝えしました。

ニューノーマル時代に重要性を増すSTPとは?
獲得したリード属性の共有の前提となる「STP分析」の重要性をご紹介した記事。STP分析の進め方もお伝えしていますので、あわせてご覧ください。

リードナーチャリングとは

自社の商品・サービスを購入してもらう確率を上げていくために取り組む、見込み顧客の「創出」「育成」、「分類」に関する一連の活動を「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」と呼びます。それぞれについて解説します。

リードジェネレーション

リードジェネレーションとは、自社の商品・サービスに興味関心を持ってくれる可能性の高い「見込み顧客情報(新規リード)」を獲得するためのマーケティング活動です。
そもそも新規リードの獲得率が低い場合や獲得できたリードの質が期待とずれている時は、リードジェネレーションを見直す必要があります。

リードナーチャリング

リードナーチャリングは獲得した見込み顧客を「育成する」ためのマーケティング施策や活動です。
リードジェネレーションによって獲得した見込み顧客に対してさまざまな手法でアプローチすることで、自社の商品・サービスへの興味関心を高めつつ、関係性を育てていきます。

リードクオリフィケーション

見込み顧客を分類することをリードクオリフィケーションと呼びます。
見込み顧客のフェーズを見える化することで、どのようなアプローチの仕方が効果的であるかを考えられるようになり、営業への引き渡しもスムーズに行うことができます。

リードナーチャリングの重要性

新規で商談機会を創出するには、リードを獲得する必要があります。しかし、獲得したリードのすべてが最初から購買意欲が高いわけではなく、すぐに商談にはつながりません。獲得したリードに対して、それぞれの課題感や興味関心に合致した情報を届けるなど、適切なタイミングでアプローチし続けて購買意欲を高め、商談へとつなげていく必要があります。

いつでも好きな時に欲しいタイミングで買手が自ら情報を収集できるようになり、選択肢が増えた現在では、従来型のプッシュ営業はこれまで以上に効率が悪くなる傾向にあります。さらに、コロナ禍においては従来の定期営業訪問が困難になり、顧客の検討状況を把握してプッシュすることやクロージングが困難になっています。今後、リードナーチャリングの重要性は増大していくでしょう。

リードナーチャリングのメリット

営業活動の効率化

営業担当者は何度も客先に訪問して信頼関係を築き、ヒアリングからニーズの把握、商品・サービスの概要説明、そしてクロージングを行っていきます。しかし、一人が訪問できる回数には限度がありますし、数を重ねたからといって受注につながるかどうかは不明です。そこで、営業活動の中にリードナーチャリングの施策を交えて、反応がよくなったリードのみを営業へ引き渡すことで、受注確度が高いリードに集中して営業リソースを配分できるというメリットが得られます。
関心度がまだ高くないリードへは資料請求やセミナー参加などの情報を送り、すでに興味関心を持っているリードに対しては個別にアプローチをかけるなど、営業とマーケティングが連携して戦略を立てていくことが重要です。

営業の機会損失の防止

一度失注したり、アプローチへの反応が薄いリードに対しては営業活動の優先順位が低くなり、結果的に何もアプローチせずに放置してしまうケースも多いのではないでしょうか。最初は反応が薄くても、適切な情報提供を続けることで、徐々に関心が高まり、ホットリードへ変わっていく可能性があります。また、月日がたてば、顧客側も業務内容の変化や担当者の変更などで状況が変わり、購買を検討してくれるかもしれません。
失注リードや現時点で受注確度の低いリードにナーチャリングを継続することで、将来的に商談化する可能性が生まれます。

主なリードナーチャリングの手法

メールマガジンの配信

まだ興味・関心度合いの低い顧客に対しては、定期的なメルマガ配信を通して商品やサービスに関する最新情報を提供することで、徐々に検討意欲を高めていきます。eBookや導入事例資料などの提供も行っていきます。

ダイレクトメールでセミナー情報を案内したり、お役立ち情報を案内したり、ステップメールを活用して関心度合いに合わせて細かくアプローチしていくなど、複数の施策を組み合わせることができます。

ウェビナー

アフターコロナでは従来の来場型セミナーからオンラインセミナーへと移行し、Webでセミナーを行うウェビナーが主流となっています。来場型セミナーよりも時間と場所の融通が効きやすいウェビナーは参加の需要も多く、リード獲得には欠かせない施策のひとつです。
ウェビナーでは、顧客の興味・関心度合いや購買検討段階に応じて内容を変えて開催するとよいでしょう。導入のメリットやベネフィットをダイレクトに伝えることができますので、顧客が実際に使用しているシーンをイメージできる工夫をするとよいでしょう。

インサイドセールス

インサイドセールスは、マーケティングと営業の間をつなぐ施策です。自社と一度接点のある新規顧客に対してアプローチします。具体的には、メルマガの定期購読者やeBookや導入事例などの資料をダウンロードしている見込み顧客に対して電話をかけ、顧客の課題やニーズをヒアリングし、さらに詳しい情報を提供します。

リードナーチャリングのKPIとマーケティングと営業連携の重要

代表的なリードナーチャリングのKPI

リードナーチャリングを成功させるために重要なのはKPI(Key Performance Indicator)を設定し推進することです。代表的なリードナーチャリングのKPIは以下の通りです。

自社ブログのアクセス数

サイトのランディングページにどのくらいのアクセスがあったかを計測します。

コンバージョン率

アクセス数のうち、実際に問い合わせや資料ダウンロードを行ったユーザー数を算出します。

アポイント獲得率

営業に引き渡し、実際にアポイント訪問を実施した数を算出します。

リードの引き渡しにおけるマーケティングと営業の連携は不可欠

リードナーチャリングにおいて、特にリードの引き渡しにおけるマーケティング部門と営業部門の連携は不可欠です。なぜなら、ナーチャリングが不十分なリードは営業効率を低下させてしまい、一方、過度なナーチャリングは獲得機会の逸失につながるからです。

リードナーチャリングで大切なのは、短期的な売り込みをするのではなく顧客の求めるニーズに沿った情報を適切な頻度とタイミングで提供し続けることです。過度なアプローチにより拒否されてしまっては元も子もありません。マーケティング部門は、営業部門へのヒアリングや引き渡したリードのフィードバックを活かしてコンテンツを提供し、ナーチャリングを継続します。そして、購入意欲の高まったリードを素早く営業部門に渡せるように連携を強化し、営業部門が求める見込み顧客の状態を両部で共有して、定期的に振り返りをすることが重要になります。

また、組織全体としてリードナーチャリングを活用していくために、営業部門も重要な役割を担っています。引き渡されたリードに実際にコンタクトした結果をマーケティング部門へフィードバックすることで、ナーチャリングの精度をさらに高めていくことができ、最終的に営業活動の効率を改善することができるのです。営業担当者は、商談を通してリードの商品・サービスに対する興味・関心の度合い等を注意深く観察し、つかんだ情報をマーケティング部門にタイムリーに提供することを心がけましょう。

まとめ

獲得した新規リードをいかに商談に結びつけるかは、コロナの前後にかかわらず非常に重要ですが、コロナ禍において、まだ顧客の状態に合わせた適切な情報を提供することで徐々に購買意欲の高い状態へと育てていくリードナーチャリングは、今後ますます重要度を増していくでしょう。

リードナーチャリングを成功させるには営業部門との連携が不可欠です。リードナーチャリングの重要性やメリットを理解し、マーケティング部門と営業部門との連携を強化して内部体制を整えていきましょう。