コンフリクトをポジティブに活用して組織成長の力にする方法

2021年6月1日

どのような企業や組織であっても、意見の対立や衝突といった「コンフリクト」は避けられないものです。コンフリクトは、一見、マイナスなイメージにも見えますが、コンフリクトへの向き合い方を考えて行動することで企業の活性化や変革の力に変えていくことができます。この記事では、コンフリクトに関する基礎知識とコンフリクトを活用するコンフリクトマネジメントの方法をお伝えします。

コンフリクトは必ずしも悪いものではない

コンフリクトとは、対立、衝突、葛藤を意味する言葉です。組織の中で相反する主張(意見や要求など)が存在し、互いに譲らずに緊張状態が生じていることを指します。日本では調和や協調性を重んじるあまり、対立や衝突をよくないものとして避ける傾向があると言われますが、コンフリクトは必ずしも悪いものではありません。コンフリクトに真剣に向き合い、乗り越えることで、相互の信頼関係が深まるケースや、協調関係を模索する中で新しいアイデアが生まれる可能性があります。対立や衝突は、組織の成長にとって不可欠なものなのです。

コンフリクトはなぜ起きるのか?

どのような組織であれ、規模の大小にかかわらず、何かしらのコンフリクトは発生します。組織の戦略やビジョンの実現に向けて社員が一丸となって行動していれば、衝突や対立は起こらないように思えるかもしれません。しかし、社員の状況は、業務内容や働き方、経験や置かれた生活環境など、一人ひとり異なります。この個々人の価値観の違いや物事のとらえ方、思考パターンに起因する感情の違いなどのさまざまな要素がコンフリクトを発生させる要因になるのです。

コンフリクトを変革のパワーへ変えていく

ダイバーシティを推進する企業では、ヘルシーコンフリクト(健全な対立・衝突)こそがイノベーションを生み出す重要な要素であるという認識が広まっています。個々の多様性を生かしてイノベーションにつなげていくには、異なる価値観を尊重し、積極的な意見交換やディスカッションを重ねていくことが重要になるからです。ここで気をつけたいのは、対立している者同士の感情の溝が深まってしまうと解決が困難になり、組織の力が低下してしまう可能性があることです。個々の多様性を尊重し、コンフリクトをポジティブな力に変えていくためには、日頃からコミュニケーションを積極的に行い、コンフリクトをうまくマネジメントすることが重要です。

コンフリクトマネジメントとは

コンフリクトマネジメントとは、組織にとって否定的に扱われがちな衝突や対立、葛藤などを組織の成長や活性化のチャンスと捉えて、積極的に問題解決に取り組もうとする考え方です。コンフリクトは必ずしも悪いものではありません。コンフリクトを管理したり排除したりするのではなく、うまく活用してポジティブな変革のパワーに変えていくことは、組織のさらなる成長、新たな価値創造につながります。あえて問題と向き合い、コンフリクトの解決に積極的に取り組む企業も増えています。

コンフリクトマネジメントのメリット

コンフリクトマネジメントには次のようなメリットがあります。

  1. 誰もが意見を言い合える組織風土を醸成できる
    コンフリクトから目を背けずに解決に向けて取り組むこと、そしてコンフリクトを乗り越えることは、組織力の強化につながります。当事者の意見に耳を傾け、解決に向けた策をともに考えて発言し、誰もが平等に意見を言い合える雰囲気を作ることで、率直な意見交換ができる組織風土の醸成につながります。
  2. 当事者の意見を聞き、言葉にすることで論点が明確になる
    何が問題なのか、何が原因になっているのか、当事者の意見を聞いて言語化することで、対立の根本的な要因や双方の要求を明確にできます。論点を明確にすることで、解決に向けた有効な解決策を見つけ出せます。
  3. 相手の意見を聞くことで、新たな視点やアイデアが生まれる
    相手の意見を聞くことで、自分とは違う発想や自分にはない新たなものの見方に気づくことがあります。そこから新しいアイデアやクリエイティブな発想が生まれ、組織のクリエイティビティを上昇させるきっかけにつながります。
  4. 組織が変革するチャンスになる
    健全な対立、ポジティブな議論は、組織にとってプラスの影響をもたらします。コンフリクトをポジティブに活用することで、企業や組織における本質的な課題の解決や顕在化していない課題の解決につながることもあります。コンフリクトマネジメントを行うことで、組織の活性化や変革のチャンスにつながるのです。

コンフリクトに対する5つの反応

コンフリクトが発生したときに対立する双方が取る行動は、次の5つに分けられます。

  1. 強制
    権力などのパワーバランスを用いて、高圧的に問題を解決しようとするのが「強制」です。自分の方針や意見を一方的に相手に押し付ける、相手の意見にまったく耳を傾けない、同意を得ずに事を進めてしまうなどが挙げられます。片方の意見は無視されるか封じ込められてしまうためWin-Loseの関係になります。
  2. 受容
    相手の意見や要求を飲み、自分の意見を押し殺してしまう、相手の考えを自分の意見として完全に受け入れさせられるのが「受容」です。自分の意見が通らないためLose-Winの関係になります。
  3. 妥協
    双方の意見の妥協点を探り、落としどころをつけるのが「妥協」です。お互いの意見が完全に通された状況ではなく、あくまでも妥協に過ぎないので双方にとって不満足感が残ります。
  4. 回避
    あえて直接的な衝突や対立を避け、解決を避けて先延ばしにするのが「回避」です。当事者の片方が意図的に回避するケースもあれば、双方が意図的に回避するケースもあります。お互いの意見が見直されることはなくLose-Loseの関係になります。
  5. 協働
    利害や立場、性格、考え方などの異なった者同士が協力し、お互いの意見を出し合いながら、両者にとっての最善の解決策を導き出すのが「協働」です。Win-Winになる可能性が高く、コンフリクトマネジメントに最も適しているといえます。

コンフリクトの解決を成功に導くための5つのステップ

コンフリクトマネジメントでは、お互いがWin-Winの関係になるという意味で、「協働」的に行動することが重視されます。コンフリクトを「協働」による解決に導くためには、段階的に対処する必要があります。ここでは、コンフリクトの解決を成功に導くための5つのステップをご紹介します。

  1. 迅速な対応
    対立が起きた際は、速やかに対処することが大切です。対処が遅くなればなるほど問題は大きくなり、当事者だけでなく組織内のストレスと不安感は大きくなります。まずは冷静に状況を把握するなど、迅速な対応を行いましょう。
  2. コミュニケーション
    対立している当事者に対して、各々の心理的安全を担保した上でコミュニケーションをとります。各々がどのような視点を持っているのか、何に不満や憤りを感じ、何を望んでいるのかにフォーカスしたコミュニケーションをとることが重要です。ていねいに傾聴し、コンフリクトの原因を探っていきます。
  3. 仲介者の介入
    コンフリクトを解決するために、それぞれの要求や要望を理解したうえでコンフリクトの原因を理解した仲介者を介入します。仲介者は、特定の当事者だけを援護するような人物ではなく、客観的な立場や視点で問題の議論を整理し、中立な立場でファシリテートできる人物が望ましいです。
  4. 解決案の提示
    当事者のそれぞれが目指すゴールは何か、自分の考えに固執しすぎてはいないかなど、客観的に判断を下します。そして、双方が納得できるための解決策を考えます。この時、考えうるすべての解決方法を出すことが大切です。
  5. 問題の解決
    考え出された解決策の中から、双方が納得し、より良い未来を方向づける案を1つ選びます。建設的なコミュニケーシヨンをとりながら合意形成を得るプロセスを踏み、双方が決定した解決案に従うことが重要です。

まとめ

規模の大小にかかわらず、意見の衝突や対立といたコンフリクトはどのような企業や組織にも発生します。コンフリクトは決して悪いものではなく、うまく活用することで企業の成長や組織変革のためのポジティブな力に変えられます。コンフリクトを解決するためには、中立な立場で双方の意見をていねいに聞き、問題を冷静に見つめ、双方が納得する解決策を導き出すことが大切です。

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