コーチング研修で育成スキル向上! 営業マネジャーが学ぶべきこととは

2022年3月29日

プレイヤーとして優秀な功績を挙げてきた人が、部下の育成においても優れているとは限りません。部下に必要と思われる情報を与え、技術的な面を指導しているつもりでも、思うようにパフォーマンスが上がらないケースもあるでしょう。そんな時は、マネジャー自身が自分の育成の方法に偏りがないかを確認し、部下の状態に合わせて育成方法を見直してみるのもよいかもしれません。

そのひとつの方法が、コーチングです。営業マネジャー向けのコーチング研修である「営業活動コーチ研修」は、営業現場における部下育成の基本的な考え方を確認し、適切な会話を通じて部下の自律的な行動を促す上司となるための「学びの場」です。ここでは、その基本的な情報をご紹介していきます。

コーチング研修とは

コーチングとは、さまざまな定義がありますが、一般的には、対話を重ねることで相手の意見や気づきを引き出し、行動を促進する手法だと言われています。コーチングを通じ、答えを与えるのではなく、相手が自律的に考えながら行動できるよう支援します。

つまり、自らが障害や課題を解決し、目標に向けて動き出せる人材を育てることがコーチングの目的と言えるでしょう。企業においては、コーチングを実施することにより、部下の行動に対する基本姿勢を形づくることができます。

コーチングと対で語られる言葉に、ティーチングがあります。両方とも指導方法を示す言葉ですが、ティーチングは必要な知識や情報、つまり「答え」を与えるのに対し、コーチングは、「答え」を自ら導き出せるようにサポートしていきます。

そして、その中でも、営業マネジャーのコーチングスキルアップを目指すのが、営業活動コーチ研修です。

従来の営業人材育成においては、ティーチング方式に偏っている傾向がありました。しかし社会環境の変化や市場競争の激化が進むなか、企業における市場の優位性獲得のためには個々の営業力強化が不可欠です。ティーチングのみでは、適切な育成や教育を行うことが難しくなってきています。真の営業力強化のためには、自律性を持ち、課題発見力・解決力のある人材を育てる必要があります。

企業成長に貢献する営業人材を育てていくためにも、営業マネジャーにはセールスコーチングの知識と技術が求められます。

営業マネジメントの基本については「営業マネジメントとは? 実践に欠かせない4つの項目と3つのスキル」で、営業力の強化に必要な要素については「営業力強化とは? 現状分析や社内連携で自社の競争力を高めよう」でわかりやすく紹介していますので、ご参照ください。

また、コーチングのスキルアップの重要性については、「「コーチング」のスキルアップは部下の能力向上には欠かせない」をご覧ください。

営業活動コーチに求められるスキル

より効果的なコーチング研修実施のため、研修を企画する担当者は、営業活動コーチ、つまり、営業担当者のパフォーマンスによい影響を与えるコーチそのものについて理解しておく必要があります。ここでは、営業活動コーチに求められる姿勢・考え方、スキルを解説します。

営業活動コーチの基本的考え方を学ぶ

  • 多様性を考慮する
    個々の営業担当者には、仕事の能力や経験・習熟度の違いがあります。また、考え方にも違いがあるでしょう。
    相手の習熟度やとりやすいコミュニケーションのスタイルを理解し、その多様性に配慮した指導をする必要があります。特に、コーチングを実践するに当たっては、相手の習熟度に合わせて、伝える指導とともに、自ら気づかせていく指導を組み合わせてアプローチしていきます。
  • 双方向のコミュニケーションを心がける
    コーチングでは部下の話を引き出し、現在どのように考え、どのような状況にあるかを把握していかなければなりません。そのためには、まず、コーチングを行う側が話しやすい雰囲気をつくるよう努めます。
    傾聴や質問のスキルを使って部下のニーズを理解し、それに応えるという形を取っていくことが大切です。コーチングを実施する前に、コミュニケーションの土台づくりを行い、信頼関係を構築しておくとスムースでしょう。
  • 自ら自信を持って行動できるように働きかける
    日々顧客と向き合う営業担当者は、自身の行動に不安や迷いを持つこともあります。
    会社や上司は部下に対して期待していることを伝えながら、自信が持てるように働きかけます。目標に向かい、達成できるという成功イメージを抱けるようサポートし、自らの成長への気づきを促します。
  • 指導の考え方や発想に柔軟性を持つ
    視点が固定されてしまうと、相手の状態に合わせたコーチングが難しくなります。
    状況をさまざまな視点から見るよう心がけ、自分自身の思い込みから離れることが大切です。相手は常に変化しています。現実の状態を受け入れ、成長に目を向けながら、柔軟性を持った対応をしていきます。

営業活動コーチの基本技術

  • 傾聴の技術
    常に肯定的なスタンスを保ち、共感を示します。疑問や不審な点があっても、遮らずに最後まで話させることが重要です。適度な相づち、うなずきを行い、受容の姿勢を態度でもあらわします。
  • 質問の技術
    威圧的にならず、相手を委縮させないよう自然に必要な要素を聞き出していきます。「イエス」「ノー」で答えられるようなクローズドクエスチョンばかり重ねてしまうと、尋問調になりがちです。自由度の高い答えが引き出せるオープンクエスチョンを多用し、相手の自発的な発言を促します。
  • 観察の技術
    面談の際には、言葉に出ていない部下の内面的なものまで感じ取り、表出できるよう促します。また、日頃の言動から異変を感じ取る観察眼も、コーチとして重要なスキルです。

営業活動コーチの基本的な流れ

営業活動コーチは主に同行訪問を想定した流れを設定しています。面談の前後で、以下のような流れで実施します。

  • 事前ミーティング
    事前にやり取りをした情報をもとに、面談のゴール設定と共に、コーチングのゴールも確認します。
    その上で、顧客とのコミュニケーションについて確認し、どんなやり取りが想定されるかを練習します。
    ここで重要なことは、上司と部下の間でどのような役割分担をするか、また、不測の事態においてどのように介入するかを確認しておくことです。事前の進め方の確認はされているケースが多いようですが、役割分担を明確にすることで、営業活動の中でのコーチングがスムースにできるようになります。
  • 観察(オブザーブ)
    顧客と接する部下の言動を観察、記録します。
    「いつ、何を、どのように」という3つの要素を用いて、なるべく具体的にその場で起きたこと(事実)を捉えることが求められます。
    具体的に観察しようとすると、情報は膨大になり、すべては観察することができません、そのために、中期的な育成目標やその日のコーチングの目標に沿った形で、主立った点をピックアップして観察します。
    その際に、顧客の反応がどのように変化したかなど同時に観察します。そうすることで、フィードバックの価値を高めることができるのです。
    また、面談の状態が思わしくないような場合は、事前に確認した内容を元にサポートを行うことが必要になる場合もあります。営業現場でのコーチングは臨機応変さが求められると言える場面かもしれません。
  • 事後ミーティング
    記録をもとに、振り返りのミーティングを実施します。
    ポイントは、それぞれの言動が意図したものであるかを部下自身が確認し、またその効果について判断できるようにすることです。コーチは、そのために同行先での情報を提供します。
    もちろん、部下が気づかなければ、指摘する必要がある場合もありますが、自ら自分の言動を振り返る力を育むためのかかわりを意識することが重要です。

営業マネジャーに対してコーチング研修を検討する際のポイント

営業マネジャーに対してコーチング研修の導入を検討する際のポイントは以下のとおりです。

  • 何をコーチするかを明確にする:何をコーチするかを明確にせずに、どのようにコーチするかを学んでもパフォーマンス向上につながりにくくなります。多くの企業で、このコーチングのWhatとHowのバランスについてあまり意識せず研修が企画されています。
  • 実践との連携を検討する:コーチングと実際の業務がつながるようなプランを策定します。
  • 研修、実践、振り返りをセットにする:先に挙げたコーチングの流れとともに、コーチ自身の振り返りも行いましょう。
  • コーチする際の問題を事前に検討しておく:営業マネジャーが自身の指導について感じている課題を、研修に当たり明確化します。

以上のポイントを押さえることで、実践につながる効果の高い研修が実現できます。

営業マネジャーの成長は、営業担当者のパフォーマンスに直結します。研修を企画する側は、どうすれば最大限の効果が得られる営業マネジャー育成施策が実行できるのかを、十分に検討する必要があります。

営業担当者のパフォーマンスを引き出せる営業マネジャーを育成するために

自社の競争力強化のためには、営業現場における成果が不可欠です。各営業担当者のパフォーマンスを引き出すことは、企業利益の向上に貢献します。

営業力強化に貢献できる営業マネジャーの育成を考える研修担当者の役割は、効果の上がる施策の導入を目指し、実施することですが、営業活動コーチに関する研修は、営業マネジャーとして求められる、高度な育成スキルを身に付けるための有効手段となります。

ウィルソン・ラーニングでは、営業力強化に向けたさまざまな教育プログラムを提供しています。また、参考になる資料や動画も無料で公開しております。営業マネジャーに対するコーチング研修の実施を検討の際には、ぜひご活用ください。

ウィルソン・ラーニングの営業力強化プログラム
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