ソリューション営業とは?今さら聞けない基礎知識をわかりやすく解説

2021年7月13日

営業職であれば、「ソリューション営業」という言葉はよく耳にするでしょう。ソリューション営業とは、従来よく見られた売り手主体の営業スタイルではなく、購買者であるお客さまを主体に考えた営業スタイルです。
競合があふれ、製品やサービスの質だけでは売上を確保するのが難しい今の時代、ソリューション営業はお客さまに選ばれる上で有効と言われますが、本質を理解していなければ成果にはつながりません。この記事では、成果につながるソリューション営業の概要やプロセス、必要なスキルなどを紹介します。

また、コロナ禍においては営業スタイルを変えざるを得ない場面もあったことでしょう。しかし、営業活動を支える課題探索のプロセスは変わることなく引き継がれていきます。
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ソリューション営業とは

ソリューション営業の意味を改めて確認し、今注目されている理由を紹介します。

ソリューション営業とは?

ソリューション営業とはお客さまから現状の課題やニーズを引き出し、そのソリューション(解決策)を提案する営業手法のことです。「提案型営業」と言われる場合もあります。

単にお客さまが気に入りそうな内容を提案するだけでなく、対話によってお客さまの抱える問題の根源をとらえ、その問題の解決を支援するのがソリューション営業の本質です。購入決断までの過程においてお客さま自身が「納得すること」を重視します。

自身が抱えている問題が解決できれば、お客さまは高い満足感を得ます。それを支援した営業担当者に対しても信頼感を持ってもらえるようになり、さらに良好な関係を築くことが期待できるでしょう。

ソリューション営業が注目される理由

現代は、情報過多の時代です。自社、他社を問わず商品やサービスの情報はネット上にあふれています。そのため営業活動において、すでにお客さまが知っているような自社商品やサービスの利点を伝えるだけでは、お客さまにとって目新しさがなくインパクトもありません。

一方、多くの情報があふれているからこそ「どの企業のどの商品、サービスを選ぶべきか」と悩み、判断できないお客さまも多くいます。

誰でも簡単に収集できる自社商品・サービス情報を繰り返しアピールするのではなく、お客さまの本当の困りごとを聞き出し、それに適した解決法として商品・サービスをからめて提案することのできるソリューション営業が求められているのです。

さらに、一歩進んだソリューション営業では、お客さま自身が気づいていないニーズを掘り起こす提案が求められます。潜在的なニーズをくみ取り、さらに良い提案を行うソリューション営業こそが現在必要とされているのです。

営業スタイルは2種類に分けられる

そもそも営業のスタイルとは、下記のように「プッシュ型営業」と「プル型営業」の2種類に大別されます。

プッシュ型営業

プッシュ型営業とは、お客さまの購買行動を促すための働きかけを、営業担当者から積極的に行う伝統的な営業スタイルです。「自分で電話をして新規アポイントを取って訪問」「ルート営業による日常的な訪問、御用聞き」「テレマーケティングなどによる架電営業」などが代表的です。

プル型営業

プル型営業とは、展示会、セミナー、自社のWebサイトなどを通してお客さまに自社の商品やサービスに興味・関心を持ってもらい、お客さまに自ら問い合わせなどの行動をしてもらえるように働きかける営業スタイルです。

プッシュ型営業が顕在化している見込み顧客に対して営業をかけるのに対し、プル型では潜在顧客にもアプローチします。ソリューション営業はお客さまの潜在ニーズにアプローチしていくという意味でプル型営業に含まれます。

ソリューション営業に必要な能力とは

ソリューション営業において必要な能力を紹介します。

コミュニケーション能力

コミュニケーション能力とは一般に人間関係を円滑にするために他者へ働きかける力をいいます。ただし、ビジネスにおいては、人間関係を円滑にするだけでなく、ビジネスパートナーとして信頼関係を構築できるようなコミュニケーション能力が必要です。

たとえば、コミュニケーションによって対話の相手がリラックスした状態になった場合、一般的な交友関係であればそこで満足できるかもしれません。しかしビジネスの場面であれば、「お客さまがリラックスした状態」で、「抱えている問題を話してくれる」、もしくは「製品説明を聞いてくれる」という成果につなげる必要があります。

さらに、ソリューション営業では、コミュニケーション能力のなかでも、「聴く力」が非常に需要です。お客さまの顕在的あるいは潜在的なニーズ、不満や要望など、営業活動を行う上で重要な情報を得る必要があるためです。そのような重要な情報を得るには、お客さまが自社の課題について営業担当者に率直に話せる信頼関係を構築していることが大前提となります。

分析力・仮説構築力

対話から得た情報を分析する力、お客さまの置かれた状況を客観的に判断して分析する力が必要です。また、分析をもとにお客さまの課題や解決策の仮説を立て、適切な提案を行う力も求められます。

仮説を立てる際は、お客さまの視点に立って考えることが大切です。また、お客さまと関わり合うなかで仮説が正しいのかどうかの検証をし、必要に応じて調整を繰り返すといった能力も必要となります。

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ソリューション営業のプロセス

ここでは、ソリューション営業の基本的なプロセスを紹介します。

  1. 事前準備
    お客さま企業の基本情報を収集して、企業、業界理解を深めます。事前分析、課題に関する仮説も立てておくとよいでしょう。
  2. 信頼関係をつくる
    当然ながら、初訪問の時点ではお客さまとの信頼関係は作れていません。コミュニケーションを取りながら地道に信頼関係を構築していきます。この段階ではお客さまに対して問題解決の意志を持っていることや、解決できる能力を備えていることを示します。
  3. 問題を認め合う
    信頼関係ができてくると、お客さまから率直な意見を引き出しやすくなります。収集したお客さまの情報をもとに、「現状」と「あるべき姿」のギャップを明確にします。営業担当者とお客さまの認識が乖離しないよう、細かく意思確認しながら問題を明らかにすることで、お客さま自身が解決の必要性を感じるようになるでしょう。
  4. 解決案を示す
    解決策を提案します。提案の実行によって課題が解決することや、お客さまのビジネスにとって役立つことを説明します。その際、お客さまが納得する言葉で伝えることが重要です。また、価格は意思決定の重要な材料ですので、自社製品・サービスにかかるコストの根拠は十分に説明します。
  5. 商談成立後
    商談が成立したあと音沙汰なし、ということではせっかく培った信頼関係がだいなしです。製品やサービスの導入フォローを丁寧に行い、お客さまの満足度を高めていきます。商談成立後にさらに信頼関係を強化することで、今後の関係性も良好になるでしょう。

このように、営業担当者は、常に問題解決の姿勢でお客さまと向き合うことで、お客さまが心から納得する提案の実現を目指します。

ソリューション営業のスキルを向上させるには?

日々の営業活動のなかで少しずつ営業力をつけていくのは大切なことですが、実践だけに頼るのは時間がかかりますし、誤った方向に向かってしまう懸念もあります。効率的にソリューション営業のスキルを身に付けるならば、ノウハウを体系的に学べる学習プログラムの利用も選択肢に入れたいところです。

学習プログラムには、営業担当者一人ひとりがソリューション営業の重要性を理解して参加しなければなりません。事前に学習プログラムの意義や効果を社内で周知することで、学習会への意欲を刺激しておきます。

学習プログラムは、次のようなものが理想的です。

  • ソリューション営業のプロセスごとに、効果的な顧客への働きかけを学べること
  • 学んだ内容を即実践で活かせる、具体的な内容であること
  • 営業組織全体の底上げが可能なプログラムであること
  • プログラムを終了したあとも継続して学べるようなフォローがあること
  • 営業担当者がソリューション営業のノウハウを学べるだけでなく、同時にその上司のマネジメント力を高めるような内容になっていること

<ご参考プログラム>
CSP カウンセラー セールスパーソン
vCSP カウンセラー セールスパーソン(オンライン版)

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学習プログラムを活用してソリューション営業に必要なスキルを磨こう

お客さまの課題を解決するソリューション営業は、お客さまにとって単なる「営業担当」ではなく「一緒に課題解決を考えてくれるパートナー」とも言える存在です。潜在ニーズに働きかけることにより、持続的な関係が期待できます。

しかし、それにはヒアリング能力や分析能力など多くのスキルを磨く努力が必要です。日々の経験の積み重ねや反省だけでは、なかなか思うようにいかないこともあるでしょう。実践と平行して、体系的な学習プログラムの利用もご検討いただくと効果的かもしれません。