ペルソナとターゲットはどう違う? 今さら聞けないペルソナの基礎知識を解説

2020年12月8日

マーケティングにおいてターゲットを設定することが重要なのは言うまでもありませんが、ターゲットをより明確にするために「ペルソナ」を設定する必要があります。そして、設定したペルソナをチーム間で共有することが非常に重要です。今回はペルソナについての基礎知識とペルソナを設定する過程で営業部門が積極的に関与することの重要性についてお伝えします。

ペルソナとは?

ペルソナとは、自社の商品・サービスのターゲットとなる顧客の具体的な人物像です。ペルソナを設定することで、そのペルソナに向けた商品開発、営業戦略、マーケティング戦略、販促活動などに活かすことができます。

ペルソナとターゲットはどう違う?

「顧客層」という点ではターゲットもペルソナも同じですが、人物像をどれだけ深く設定するかが異なります。「ターゲット」よりも「ペルソナ」の方が、より深く詳細に人物像を設定します。
たとえば、ターゲットは年代、性別、職業、趣味などを設定するのに対し、ペルソナは、その人の特徴をあらわすニックネームや仮の名前、年齢、性別、職業・職種、住まい、家族構成、趣味、ライフスタイル、SNS利用状況、よく見るサイトやアカウントなどを設定します。

ターゲットとペルソナの設定例

ターゲットとペルソナの具体的な設定例をご紹介します。

ターゲット

年代:30代
性別:女性
職業:会社員
趣味:ゴルフ、旅行好き

ペルソナ

仮名:A子
年齢:33歳
性別:女性
職業:大手保険会社の営業職
住まい:東京都世田谷区在住
家族構成:夫(35歳)と二人暮らし
趣味:ゴルフ、料理、ワインバーめぐり
ライフスタイル
月に2回ゴルフスクールに通い、3カ月に一度はコースに出る。料理とワインが好きで月に一度ソムリエのいる料理教室に通う。
性格
陽気で社交的。日頃から情報収集・情報提供を惜しまない。買い物は吟味して自分に合う物を選びたいタイプ。
SNS利用状況
毎日InstagramやYouTubeでソムリエや料理ブロガーのアカウントをチェックしている。自身の投稿はゴルフレッスンのようすや料理とワイン中心。友人とのやり取りは、主にLINEを使用する。

いかがでしょうか。ターゲットとペルソナ、それぞれの設定項目とその内容に注目していただくと、違いがわかるのではないでしょうか。

ペルソナの設定方法

それでは、具体的なペルソナの設定方法について説明します。

1. ターゲットの情報を集める

まずは、ターゲットに関する情報を収集します。既存の顧客データから、年齢、性別、職業などの基本情報の他、趣味・思考やライフスタイルなど詳細情報を収集していきます。よりリアルな人物像を設定するためにも情報収集は欠かせません。もし情報が足りなければ、必要に応じて顧客アンケートやインタビューを実施します。座談会などを開催し、顧客の生の声を拾い上げることも有効です。また、情報収集には営業の持つ顧客情報を共有してもらうことも重要です。デジタルデータだけでは知り得ない情報を得ることがペルソナの精度を高めるカギになります。

2. 集めた情報を分類する

集めた情報からターゲットの特徴を言語化し、分類していきます。関連性の高い情報をグルーピングすることで、共通するキーワードを発見したり、購買動機や行動心理を推測したり、特定の行動パターンを発見することができます。さらに、ターゲットの隠れたニーズに気づくこともあります。

3. ペルソナに落とし込む

収集・分析した情報をもとに、ターゲット像に属性や生活スタイルなどの詳細情報を加えていくことで、人物像の輪郭をはっきりさせることができます。ここで明確なペルソナ像を設定します。もし人物像が曖昧になってしまうようであれば、情報が不足している可能性がありますので、顧客との接点頻度の高い営業部門にヒアリングをするなど、追加情報を収集するとよいでしょう。

4. ペルソナを検証・修正する

設定したペルソナが実際の顧客ニーズとかけ離れていないか、自社の商品・サービスにマッチしているのかを検証します。検証の結果、必要があれば修正を加えていきます。顧客のリアルな姿を知る営業の声を反映しながら、ペルソナの設定から検証および修正まで進めていくとよいでしょう。

ペルソナ設定で得られるメリット

ペルソナを設定することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは3つのメリットをご紹介します。

1. 戦略が立てやすくなる

ペルソナ設定のメリットは、ターゲットを明確に絞り込むことでマーケティング戦略や販売戦略における仮説が立てやすくなることです。顧客のことをよく知らず人物像が明確でないままでは、ペルソナの購買心理にアプローチしてダイレクトに売上につなげることができません。どのようなタイミングでどのような戦略を仕掛ければよいのかわからず、常にトライアンドエラーを繰り返し、時間と労力と予算をムダにしてしまうかもしれません。効率良くアプローチして成果を上げるためにもペルソナの設定は重要です。

2. 関連部門だけでなく全社内で共有できる

設定したペルソナは、営業やマーケティングなど、関連部門やプロジェクトチーム内で共有するだけでなく、商品企画や開発部門、カスタマーサポートなどの他部門と共有することができます。社内でペルソナを共有することで、ペルソナに基づいた商品開発や顧客満足度の向上施策につなげることができます。これは、部門横断のブレない戦略を立てることにもつながります。

3. 顧客視点でとらえることができる

つい自社の理想の顧客像を設定し、予算や期日など部門の都合や自社の視点でマーケティング戦略や販売戦略を立ててしまいがちです。そのような場合でも、ペルソナがあることで、顧客の視点で物事を見ることができます。ペルソナが望む商品設計になっているのか、ペルソナの購買心理をつかむ施策やキャッチコピーになっているのかなど、客観的に検証することができます。

ペルソナを設定する時の注意点

リサーチ不足や仮説に主観が入り過ぎてしまうと、実際のニーズとは異なるペルソナ像を設定してしまう恐れがあるので、注意が必要です。マーケティングが得意とするデジタルデータの分析だけでは、特定の側面の情報しか見えず、偏ったペルソナになる恐れがあります。よりリアルで人間味のあるペルソナを設定するためには営業とマーケティングの連携が必要不可欠です。営業はマーケティングと連携してよりリアルなペルソナを設定することを意識し、マーケティングはデータからは見えない顧客の真の姿を推量することが必要です。
また、見込み顧客はあくまでも見込み顧客ですが、その顧客像は時代や社会情勢とともに変化します。一度設定したペルソナは、「設定して終わり」ではなく、時代の流れや今の消費者のニーズに合わせて見直していく必要があります。

まとめ

マーケティングに欠かせないペルソナとは、ターゲットとなる顧客を具体的に設定した人物像のことです。年齢、性別、職業・職種、住まい、家族構成、趣味、ライフスタイル、SNS利用状況、よく見るサイトやアカウントなどをより具体的に設定します。顧客との接点頻度が高く顧客の生の声を知る営業とマーケティングが積極的に連携し、データからは見えない顧客の真の姿を推量して、よりリアルなペルソナを設定することが成功のカギになります。