人材開発におけるソーシャルラーニングのメリット

2020年4月21日

ソーシャルラーニングは、 FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを学びのツールとして活用する学習形態です。企業の人材開発においては、職種や組織の枠を超えて知見を共有することにより、業務上の問題解決やスキルの向上、イノベーションの創出につながるといった効果が得られ、活用が進んでいます。

人材開発におけるソーシャルラーニングのメリットや、導入する際に気をつけるべきポイントなどを紹介します。

ソーシャルラーニングとは?

ソーシャルラーニングは、Facebook、Twitter、ブログ、YouTube、Q&Aサイトなどのソーシャルメディアを学びのツールとして活用する学習形態の総称です。
「教える側」と「教わる側」の区別や役割が定められた従来の学習方法ではなく、参加者同士が対話をしながら教え合い、学び合う関係であることが特徴です。
ソーシャルメディアを通じて誰もが教える側になり、誰もが教わる側にもなります。相互に教え、学ぶことができるのです。

企業の人材開発における学習形態

企業における社員の学習方法は、「フォーマル・ラーニング」と「インフォーマル・ラーニング」に分けられます。
フォーマル・ラーニングは、目的に合わせてあらかじめ設計された学習プログラムを用いて学ぶ、公式の学習形態です。新人研修や管理職新任研修、営業スキル研修、製品知識の習得のための研修などが該当します。

一方、インフォーマル・ラーニングは、業務に必要な知識やスキルを身につけるために主体的に行う、非公式の学習形態です。上司や先輩に直接質問して学ぶ、自主的に勉強会を開催する、社内のナレッジを活用して学ぶなどが挙げられます。ソーシャルラーニングはインフォーマル・ラーニングのひとつです。

システムエンジニア達は昔から、自ら開発したソースコードをオンラインで共有し、オープンソースとして開示してきました。バグの指摘・改善策や陥りやすい注意点といった情報や知見を惜しみなく共有することで、互いに学びの場として活用し、自律的に成長をしています。

このように、学びの過程を仲間と共有し、相互に学習することを「ピア・ラーニング」と呼びます。ピア・ラーニングでは、「このスキルをこうやって活用したらうまくいった」という経験談を同じ目線で語れることが大事であり、相互学習を通してそのつながりが強固になっていきます。

学習者に対する上司や管理職のサポートはもちろん有効ですが、それと同じくらい、学び合う仲間同士が対話を通して学習過程を共有することが個人や組織の成長に良い影響をもたらします。相互質問を通して、自らの学びを醸成するのです。

ソーシャルラーニングの導入で得られるメリット

ソーシャルラーニングの導入にはさまざまなメリットがあります。
企業側が用意する研修や、特定テーマに関する勉強会のような与えられた機会ではなく、自ら情報を収集し知見を共有する自発的な学びの場は、主体性を成長させる上で役に立ちます。

ソーシャルラーニングを活用して先輩やエキスパートの経験を共有できるため、汎用の学習教材では得られない実践的な知識が得られます。企業文化や業務経験に沿った質問ができ、具体的かつ細かな意見を得られるのです。従業員にとって価値のあることではないでしょうか。
初めて行う業務の進め方、成功事例やコツ、問題が起きた際の対処方法、再発防止方法などの情報を経験者から得られることは大きなメリットでしょう。
また、社内のナレッジを蓄積してデータベース化することで、必要な時に誰でも閲覧できるようになり、業務の効率化やさらなる改善につながります。教える側も、教えることで改めて気づきを得られるでしょう。わかりやすく伝えるためのコミュニケーション能力の向上も見込むことができます。
部署、入社年次、階層、年齢にとらわれず、双方向で教え合うことで交流が深まります。他者との交流は、新たな事業アイデアが生まれるきっかけにもなり得るため、イノベーションの創出につながるでしょう。

ソーシャルラーニングを導入する際の注意点

ソーシャルラーニングのメリットは、ネットワーク環境があれば、いつでも好きな時に投稿できることです。知りたいと思った時に質問し、好きなタイミングで書き込むことができます。一方で、教える側も教わる側も個別のタイミングでの利用かつ任意参加のため、一定の目標や一定期間を設けた計画的な学習プログラムとしての活用には不向きです。

また、参加者主体であるため、意見交換が活発に行われず、求めた回答が得られないこともあります。参加者自身が価値を感じなければ、運用が停滞してしまうおそれもあります。ソーシャルラーニングの運用は、コミュニティサイトの運営に近いのです。運用する主要メンバーが異動や退職などでコミュニティから離れてしまうと、交流が途絶えてしまう場合があります。また、運用の中心となるコアメンバーの主張が強過ぎると、ほかの人が発言しづらくなり、排他的になるおそれがあるので注意が必要です。

投稿内容については、他者の経験や知見を批判するような書き込みや、企業にとって好ましくない書き込みが行われる可能性もあります。ソーシャルラーニング導入の際は、あらかじめ最低限のルールを決めておくとよいでしょう。従業員のモチベーション低下や、ネガティブな言動の誘発が起こらないような配慮が必要です。

ソーシャルラーニングを浸透させて活性化させるコツ

企業がソーシャルラーニングを導入する際は、まず、どのような情報を共有するためにどのソーシャルメディアを使うのかを決めましょう。ソーシャルラーニングを導入する目的を明確にすることで、目的に合ったソーシャルメディアを選ぶことができます。各ツールのメリット、デメリットやユーザーインターフェースも含めて検討するとよいでしょう。

次に、運用ルールを決定します。運用ルールは明確に定め、対象者全員に周知します。運用の試験フェーズでは一部の対象者でも構いませんが、運用開始時は全社的に一斉開催することが重要です。
運用開始直後のプロモーションは非常に重要です。まだ運用に慣れていないフェーズでしっかりプロモーションを行うことで、従業員に浸透し、活性化につながります。

ソーシャルラーニングでは、業務で必要な知識を自ら学びに行く、情報を取りに行く意識と、オープンに互いの知見を分かち合う意識が大事です。また、トップ層やマネジメント層が率先して投稿・共有する姿勢も大切です。部下や組織配下の投稿・コメントに目を通していることを知らせる声掛けも、モチベーション向上につながります。
始めから従業員の主体性だけに任せると、学習形態に慣れていないことから学び合いが立ち上がらないことがあります。そのためサポーター役もしくは事務局が、学習を活性化させるための工夫をすることも必要です。自発的な勉強会のために会議室を提供するなど、インフォーマル・ラーニングに対して企業がサポートできることを行いましょう。ただし、企業側が管理・監視に偏り過ぎて投稿内容や共有するナレッジをコントロールし始めてしまうと、インフォーマル・ラーニングではなくなってしまいます。
あくまで学びのコミュニティが自走し始めるまでのサポートという意識が重要です。

参加者が自発的にナレッジを共有し合い、対等な関係性で相互に学ぶことがソーシャルラーニングの長所です。企業側が介入し過ぎてコミュニティの管理・監視が目的になってしまわないように気をつけましょう。

まとめ

ソーシャルラーニングは、 ソーシャルメディアを学びのツールとして活用する学習形態です。インフォーマル・ラーニングならではの良さがあり、ナレッジの蓄積・共有にも有効です。
互いに学び、意見を出し刺激し合うことで、仕事に対するモチベーションやコミュニケーション能力の向上に役立ちます。社内コラボレーションの意識が生まれ、つながりが強固になるというメリットがあります。