【第三部】挑戦者、イネーブラー、企画事務局それぞれの立場から語るトークセッション
(左から)
- ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 HRD事業本部 執行役員 小原 大樹
- 栗田工業株式会社 イノベーション本部 オープンイノベーション推進部門 宇宙の水プロジェクトグループ 設計課 髙岩 敏也 様
- 栗田工業株式会社 イノベーション本部 新規事業開発部門 事業開発第二グループ 事業推進チーム 専門主任 吉野 貴紀 様
- 栗田工業株式会社 イノベーション本部 KIHセンター 業務管理部 業務課 課長 安池 友時 様
第三部は、プログラムに参加した吉野 貴紀 様、髙岩 敏也 様、企画事務局の安池 友時 様を迎え、弊社小原がモデレーターを務めたインタビュートークセッションです。
内省を通して自分自身のパーパスを定める
髙岩(挑戦者): インスピレーション編から実践編にかけて、自分自身のパーパスを内省する機会がありました。ここで自分自身が「どうありたいのか」を定められたからこそ、次の実践編で加速できたと感じています。「自分はどうしたいのだろうか?」と真剣に悩んだことが印象深いです。
吉野(イネーブラー): イネーブラーも自分自身のパーパスを内省し、発表します。発表を通して、自分のパーパスとみなさんのパーパスに愛着が湧き、愛おしく感じました。構想発表会では、もの凄い熱量で発表するみなさんを見て、内面から突き動かされるものを感じました。挑戦者の内面をしっかり見ようと意識したことが印象深いです。
思いがけないフィードバックが得られた挑戦構想
髙岩: これまで自分の想い(WILL)を人に伝えるという経験がなかったので、本当に話していいのか不安もありました。当日は会場に人が集まるのかさえ不安でしたが、本部長、副本部長、センター長をはじめ、会場に入りきれないほどたくさんの方に来ていただいて、こんなにも自分を後押ししてくれる人がいるのかと心強く感じました。
さらに、複数の方から発表に対するフィードバックをいただき、部門長から「髙岩がやりたいことはわかった。全部やろう!」と言っていただけて、胸が熱くなりました。
吉野: 挑戦者のやりたいことをみんなで応援しようという素敵な場になったと思います。髙岩さんはこの1年で自分のやりたいことをどんどん発信しています。彼の揺るがない熱意に感銘を受けて応援していますし、今ではお互いにイネーブルメントし合う関係になっています。
髙岩: 現在、私には社内外で25人のイネーブラーがいます。みんな、真剣に話を聞き、真剣に伴走してくださる。困った時にすぐ話を聞けるし、挑戦を後押ししてくれる人がいるのは、非常に心強いです。
安池: 挑戦構想はビジネスプランを語る場ではなく、内面にあった個人の想いを起点にやりたいことや価値創造の挑戦を発表していく場です。もちろん、マネジメント層には傾聴や支援のフィードバックへの理解があるという確信はありましたが、場の趣旨を理解していただけるのか、評価や判断をするマネジメントの顔になってしまうのではないか、という不安はありました。
ですが、挑戦者の発表に対してたくさんの温かい支援のコメントや「全部やろう!」というコメントをいただいて驚いています。場の趣旨の理解が得られただけでなく、マネジメント層がもともと持っていた支援の心が素直に表出したのだと思いました。
これまでの小さな積み重ねと一人ひとりの想いの表出がこの場を作ったのだと感じています。
自ら一次情報を収集し、外の世界に目を向ける
髙岩: 私が発案した宇宙プロジェクトを実現するには、まず我々がやっていることを世の中に向けて発信し、価値を認知してもらうことから始めなければなりません。社外で講演したり、広報の部署と連携してタイムリーに情報発信できる社内体制を構築したりと、やりたいことはすべて実行させてもらっています。
吉野: 私がイネーブルメントした挑戦者の描く世界観は、水辺に人が集まることを起点にして、会社・工場・個人が自然に対して目を向けることでさらに自然が豊かになるのではないか、というものでした。その世界観に心の底から共感し、もはや自分がイネーブラーなのか挑戦者なのかわからないくらいの熱量で、事業化に向けて共に進めています。
この挑戦は非常に大きな取り組みですが、足が止まることなく加速し続けています。
髙岩: 私はもともと、自分から社外に出ていくタイプではないんです。挑戦構想をきっかけに、自分から一次情報を取りに行くことが大事だと思って行動しています。
社外のコミュニティに入り、宇宙の前線で活躍されている方や起業家にフィードバックをいただくことで、視野が広がっています。社内にもイネーブラーはいますが、社外に出て、社内に留まっていては知り得ない情報を得ることや共感でつながる支援者を作ることは大事だと思います。
吉野: このプログラムを通して、外に目を向ける頻度や重要性への理解は格段に変わりました。社会課題を解決したいと考えているが、その課題は会社の中だけの話ではない。実現しようと思ったら社外に聞く以外に方法がない。今まで接点のなかった社外の人にアポイントを取る時は、「本当にこんなことをしていいのか?」とドキドキしましたが、今では社外の人に会って話を聞くことが楽しくなりました。そこが自分自身の変化だと思います。
立場を変えて継続参加を決めた理由
髙岩: 人には挑戦者とイネーブラーの両面があると思います。今回、挑戦者としてさまざまな方からサポートしていただけたことで、自分のやりたいことやかなえたい世界に対する活動が加速しています。少子高齢化で人口減少していく中で成果を上げていくには、挑戦者とイネーブラーの双方が触発し合い、加速していく文化が必要です。これは、これからの時代のスタンダードになると思っています。私が体験したことを次の人に渡していくことに意味があると思いますし、会社という組織の枠を超えて、宇宙規模でこうした文化を作っていきたいと思いました。
吉野: 挑戦者に触発されてイネーブラーも挑戦したくなる。プロジェクトを進めるごとに新しい気づきや視点を得られ、やりたいことがクリアになっていきます。この良いサイクルをさらに実現させるためにも、挑戦者として参加し、まずは社内に浸透させようと思いました。
挑戦を楽しむ文化を醸成し、さらに浸透させるために
髙岩: この1年で「髙岩は熱いよね。そこが君の良いところだ!」と言われる機会が増えました。中堅・ベテラン世代がこんなに面白い挑戦をしているという姿を若い世代が見て、「こんなに挑戦していいんだ!」と感じてもらえたら嬉しいですね。そのためにも自分の強みをどんどん表出していきたいです。
吉野: 想いのある挑戦は楽しいものです。新しい発見もあります。挑戦することを楽しみ、笑顔で会話する人たちが増えること自体が刺激になると思います。 面白そうだな、楽しそうだな、と思って挑戦する人が増えて、それが波紋のように社内に波及すれば、面白い方向に広がっていくと思います。
共感から構想と行動が生まれ、ワクワクが生まれる
髙岩: ある起業家の方が「実行力はブルーオーシャン」と話しておられ、感銘を受けました。
優秀な人はいても、実行力のある人はそうそういません。実行力を自分の強みとして表出できたことは、最大の変化だと感じているので、この強みをさらに活かして、組織文化を少しずつ変えていく一助になれたらと思います。
イノベーション本部では、挑戦者が集まるコミュニティで進捗を報告し、今も伴走し合っています。開発職で職人気質だった人が、「毎日ワクワクしているんです!」と言ってくれて、組織の中にも変化を感じています。
吉野: 昨年はイネーブラー、今年は挑戦者として参加したことで、人と人のつながりの中で何かが生まれていくというのを強く感じました。個人の想いに共感し、共感から何かが生まれ、議論が生まれ、方向性が定まってくる。
「ちゃんと話を聴く」ことは大切なことです。この当たり前のことが忙しいとなかなかできない。原点に立ち返り、相手が何を想っているのか、想いの根底にあるものを傾聴しようと意識するようになりました。
安池: さらに挑戦が生まれ、お互いに刺激し合ってやる気になり、次々に良いことが起きているので、私もワクワクしています。挑戦者が「やりたいのは自分だけだと思っていたので、一人でやるつもりだったが、仲間を得た。今は心から安心して相談できるし、行動できる」と言っていたのを聞き、心理的安全性が高まっていると感じています。この取り組みをさらに広げて、いろいろな人に届けていきたいです。