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豊通マテックスは、豊田通商の100%子会社であり、産業資材・紙パルプ・モビリティ資材・FC環境・開発室の5つのユニットに分かれて事業に取り組んでおります。非衣料の繊維と紙パルプ分野において原料の開発から、製品企画、加工、販売、流通までを一貫して行うとともに、環境分野での新たなチャレンジを行っています。大阪、名古屋、東京に拠点を持ち、豊田通商グループの力を最大限に生かしてあらゆる環境の変化に素早く順応することで、一歩先を行くグローバル企業として次世代社会に貢献する唯一無二の存在を目指しています。
課題・背景
- 若手従業員のエンゲージメントが相対的に低く、他世代に比べて不満や退職意向が高い傾向
- 若手従業員が主体性を持てる環境作りが急務
- 拠点間の見えない壁を払い、組織全体の連携を強化したい
支援内容
- 会社を離れた場で1泊2日の合宿型研修を実施
- 成功体験を積めるシミュレーションゲームで事業創造に挑戦
- 自他のWILLを共有することであらためてお互いを知り、一体感を醸成
「アウトプットの要請なし」が、逆に若手社員の自発的行動を引き出した
豊通マテックスとして初の従業員満足度調査を行った結果、20代のエンゲージメント低下、他世代と比較して不満や離職率の高さが課題として浮上しました。そこで、若手社員のエンゲージメントを高めるため、これまでにないパターンの研修を企画。
受講者側に気負いを持たせないため、事前課題なし、アウトプットの要請なし、コーポレートの同席なし、かつ、自由度が高くゲーム感覚で成功体験を積める1泊2日の合宿型研修を実施したところ、想定以上の効果が現れました。
参加者は、研修終了後、他世代と研修の内容や組織の課題について対話するためのランチ会を自主的に7回開催。また、研修をきっかけに拠点間の交流が活発になり、各人のモチベーションも向上。
アウトプットを求めない研修が、逆に参加者の自発的なアウトプットを引き出すという驚きの変化をもたらしたのです。その研修内容はいったいどのようなものだったのでしょうか。
アウトプットは要らないと
言われたけど、
「やってやろうぜ!」という
気持ちになった。
若手の結束力が高まったのは、
この研修があったから。
研修に参加したことで、「拠点間の交流の少なさ」が課題であることに気づいた
- 【Q】若手社員のエンゲージメント低下や研修疲れという課題がある中で、今回の合宿型研修についてどう思いましたか?
宇都宮:僕は新卒入社の6年目ですが、同期も先輩も数人が退職していて、周りを見てもエンゲージメントが高い雰囲気ではないと感じていました。普段の業務の中で東京・大阪の社員と交流する機会があまりなく、仕事に対する考えなども聞いたことがなかったので、どんな合宿になるんだろうと思いました。
中塚:私は2020年入社。コロナ禍でリモートメインですし、他拠点に行く機会もない。人数の少ない会社なのに拠点間の交流が少なく、東京・大阪は別会社のように感じていました。商材も拠点ごとに違うので、拠点内で仕事が完結してしまう。それが問題だとも思っていなかったのですが、研修で他のメンバーと交流したことで、今まで交流がなかったことが潜在的な課題だったと認識しました。
宇都宮:行く前は、もしかしたら愚痴や不満を言い合う場になるんじゃないか、と思いましたが、参加してみたらポジティブな意見ばかりで、想像と全然違いましたね。
皆、「会社をより良くしていきたい」と思っていて、考えていることは実は同じだったと知って、一体感を感じました。
中塚:私も、「仕事が忙しい、大変」というネガティブな意見が出るかと思っていたのですが、そんな意見は全くなくて。それよりも、皆、未来を向いていて、「楽しく働きたい」という同じ気持ちを持っていることを知り、安心しました。
- 【Q】プログラムで印象に残っていることを教えてください。
中塚:2日間で自分を知り、相手を知り、一体感を得られたことが一番印象に残っています。参加者が12人だったとはいえ、1泊2日でここまで仲良くなれるのは珍しいと思います。それぞれのWILLを共有できたことで一体感が醸成された。今までは拠点間の見えない壁を感じていたけれど、1日目の夜に自然と「誰かの部屋に集まって、みんなで話そう!」という流れになって、全員で語り合ったんです。そういうところが“マテックスらしさ”だなと思いました。
宇都宮:僕もWILLを共有できたことが印象深いです。ふだんとは違う環境で気持ちをリセットできたし、研修時間と自由時間のメリハリも付いていたので、公私共に皆のことを知ることができました。1日だったら公(仕事)の部分しか知れなかったと思うので、1泊2日で親睦を深めることができて良かったです。若手の結束力が高まったのは、この研修のおかげです。
成功体験を積み、自己効力感を高めるプログラム内容
若手社員の意識を変えた具体的なプログラム内容を、宇都宮さん、中塚さんのコメントを添えて紹介します。
<DAY1>価値創造リーダーシップ体験カードゲーム
新規事業を創出するカードゲーム。
戦略を立てて挑戦を続けることで成功につながり、利益を生み出すことができる。
自由に挑戦するスタンスが功を奏し、中塚さんのチームが1位に!
管理職という立場だったためメンバーから相談されるのですが、“Go” “No Go”の決断が難しかったです
ゲームを通して、チームのあり方や管理職の大変さを学びました。
<DAY2>WILLカードのアウトプット
それぞれのWILL(想い)を表出し、どのような組織文化を創りたいか言語化する。
お互いのWILLを共有したことが、若手の絆を築くきっかけになった。
皆が楽しく働きたいと思っていることを知れて、一体感を感じました。
アイデア生成ワークショップ
WILLをベースに、やりたいことのアイデアを仲間と共有する。
ここで若手の情熱に火がつき、思いがけない行動につながる。
自然に一致団結して、
みんなが同期のように思えた。
これが “マテックスらしさ” だと
思うから、
このつながりを
絶やしたくない。
一体感が高まり、誰も想像しなかった驚きの行動に出る
- 【Q】研修を通して、ご自身にどのような変化がありましたか?
宇都宮:会社からアウトプットは要らないと言われたけど、自主的に「やってやろうぜ!」って気持ちになったんです。もともと、自分から何かを発信するタイプじゃなかったけど、WILLを知れてみんな同じ目線であることが分かったので、今ここで結束したらお互いにサポートし合えるし、後は動くだけだと思ったので。
中塚:「じゃあ、一緒にやろうよ!」って、自然と一致団結したよね。全社的活動だと、上層部や他拠点のメンバーも巻き込むので躊躇するけど、顔を合わせてWILLを共有した仲間だからこそ、安心感、同じ温度感がある。もともと、同期は少ないけど、あの研修の場ではみんなが同期のように感じました。
若手が主体的にランチ会を開催、他世代との対話で気づきを得る
- 【Q】研修終了後、すぐに行動したそうですが、具体的な活動内容を教えてください。
宇都宮:まずは各グループで、毎週の週報を使って研修の感想を発信しました。僕たち若手は熱量があるだけで、具体的な取り組みは決まっていなかったのですが、「何かアウトプットしたい」という想いを佐伯社長に相談しました。相談した中で、若手が今感じている課題は全社員が感じているのか、各世代の社員が抱える不満や課題は何なのかを知ろう、となりました。そのため、等級・階層別に分けて、昼休憩時間を使って各拠点Zoomを繋いだランチ会を7回主催しました。各世代の皆さんがどういう課題感を持っているのか、僕たちが抱えている悩みや希望と同じものを先輩方も持っているのか、先輩方との対話を通して、いろいろなことを知れて面白かったです。
中塚:私たちの想いや活動を、皆さんに知ってもらうことも大事だと思っています。若手が頑張っていることを知ってもらえれば、それを邪魔する人はいないし、誰かが動き出したら、それを支援してくれる人たちばかりですから。
宇都宮:ランチ会を終えた今、ここからどう活動していくかが次の課題です。各世代から出た課題認識を吸い上げ、若手としてどこにフォーカスして活動していくのか、とても悩んでいます。
- 【Q】これからどのような活動をしていきたいですか?
宇都宮:僕たちは人事部ではないので、制度自体を変えることはできませんが、僕たちができることは何かを考え、僕たちが動くことで変わっていくもの、会社に依頼して変えていくもの、この棲み分けをまずはしていきたいです。
中塚:研修のおかげで東名阪の若手の横のつながりを持てたので、この関係性を絶やさずに下の世代にもつなげていきたいです。人が変わっても、環境が変わっても、人とのつながり・横のつながりが続いていく、そうした“マテックスらしさ”をつなげていきたいです。
- 【Q】最後に、お二人が目指す理想の組織の状態や働き方を教えてください。
宇都宮:自分自身は楽しく働きたい。30歳が近づく中で、マインドチェンジも起きています。管理職とは何か、どういう人物だったらついていきたいと思うか、自分なりに考えていきたい。僕自身がロールモデルになって若手を引っ張り、若手が活躍していけるような組織の地盤を築いていけたらと思います。
中塚:私は、どんな環境になっても、どんなステージになったとしても、仲良く楽しく働きたい。人それぞれ、“楽しい”の定義は違うし、いろんな楽しいがある。その多様性を受け入れて、皆が楽しく働ける組織づくりを考えていきたいです。
強固な信頼関係の「ベース」はリアルの場でこそ培われる
コロナによるリモートワークの影響でコミュニケーションが希薄化し、想いを共有する場は確実に減っています。だからこそ、寝食を共にし、それぞれの想いを語り合う経験をして欲しいと思いました。それが若い世代に受け入れられるかどうかは正直わかりませんでしたが、リアルなコミュニケーションが希薄になった今だからこそ、やる価値があると思いました。
研修後、宇都宮さんから「アウトプットが止まらないんです!報告させてください!」と言われた時は非常に嬉しかったです。彼の熱意を感じました。
私自身、若い頃に1泊の研修でかけがえのない仲間を得ています。同期とのつながりや若い頃に一緒にバカをやった仲間とのつながりは時代を超えた大切なものであり、人生の宝です。そして、人とのつながりは光を超えると思っています。たとえ地球の裏側にいても、起きていることが瞬間的にわかることは商社としてのアドバンテージですから、情報伝達の速さ、即座に連絡し対応できる強固な信頼関係は競争優位性に繋がります。世の中のスピードはどんどん速まり、個人の力量では対応できないレベルの複雑さになっています。チームのパワーを発揮するためには、想いの共有という「ベース」ができていることは非常に重要だと考えます。
短期間で皆のベクトルが揃い、アウトプットに繋がったのはウィルソン・ラーニングのプログラムのおかげです。季節的な問題で、心の壁を突破するツールとして私が所望していた焚き火ができなかったのは残念ですが、限られた制約の中でもこんなに成果を出していただいたことに感謝しています。
せっかく芽生えた情熱を消さないよう長期的に支援したい
研修を実施して、エンゲージメント向上は短期的な目標ではなく、プロセスの結果であると改めて感じました。個人のWILLの内省と言語化、WILLベースでつながる仲間とのアイデアの創出、同じ方向性を目指している者同士の対話の機会を提供することが、今後も重要だと考えています。
ビジネスを取り巻く環境は日々変化しています。従来の上意下達型では時代のスピードについていけなくなる。若手が中心になる時代はすぐそこまで来ています。今の若い世代は非常に優秀ですから、個々の強みを活かして会社を盛り上げて、皆さんの前向きな気持ちで時代を切り拓いて欲しい。芽生えた情熱を消さないように、“豊通マテックスのDNA”を各世代で話し合って創っていただきたいですね。
豊通マテックスは若手を中心とした組織ですが、30代以下の新卒・第2新卒・中途入社の方々が、会社に愛着を持って定年まで過ごしていただき、その中から、将来的に幹部社員や会社の中枢を担う人物が出てくることを期待しています。
結果は想像以上、若手以外の世代にも良い影響が波及しています
自主的に開催してくれたランチ会の様子や研修の感想を聞き、たった2日間で人はこんなにも変わるものかと驚いています。参加者の表情が明らかに違い、自信を持って発言して明るく活発に行動しているのを見ると感慨深いです。WILLが言語化されて、共感してくれる人がいる。それが彼らの自信に繋がっているのでしょう。他の世代からも「研修を受けてみたい」という要望や、世代で集まってWILLを語る場を作りたいと所望する声も出ています。
若手にアプローチした研修が、管理職手前の世代や次世代リーダー候補の世代にも良い影響を与えている……想像もしなかった波及効果です。むしろ、若手がこんなに熱い想いを持っていたことを、今まで感じ取れていなかったことは我々の反省点です。
私たちは、年齢、役職問わず、言いたいことを活発に言える組織づくりを目指しています。若手が会社の次のビジョンを作るのも良いですし、どんどん意見を出してもらい、一緒に作り上げていきたい。そのためには、心理的安全性の確保、安心感、信頼感、一体感の醸成が不可欠です。また、これまでの管理職のあり方を見直し、他の世代のマインドも含めて、挑戦を支援し伴走する組織づくりを考えていかなければなりません。これからさまざまな意見を聞いて、人事制度の見直しや組織運営に関して私たちができることをやっていきたいと思っています。(松島様)
親心をグッと堪えて、社長も人事も同席しない。それが本音のWILLを引き出した
若手が自分に自信が持てないのは、仕事もまだ補助的な業務で達成感がないからではないか、と仮説を立て、若い世代が主体性を持って元気になるようなプログラムを探していました。研修にコーポレートが同席しないのは異例なことですが、その場に立ち会いたいという親心をぐっと抑えて、社長も人事も同席しないという判断をしたのが良かったのでしょう。皆が本音を話し合い、打ち解け合って、ポジティブな想いでつながっていった。
研修後、目に見えて横のつながりができて絆が深まったのがわかります。仲間がいるという信頼感、安心感があって、格段に他拠点に行きやすくなった雰囲気があり、若手が自分たちの想いを発信し、行動に移している。さらに、自分が管理職になる姿まで想像できるようになったのはすごい成果だと思います。成長した若手の中から、将来のマテックスを牽引する人物が出ると思うと、ワクワクしますね。
私たちが何か施策を考えても、どうしてもコーポレート寄りのものになりますから、皆さんから意見をもらえることが大事だと思っています。若手の考えやアイデアを教えてもらい、一緒に組織文化を作っていきたいです。(北浦様)