プロポーションづくりの総合コンサルティング企業で、全国に美と健康のフランチャイズ事業を展開する株式会社ダイアナは、価値創造の源泉である「人財」に着目し、会社が掲げるビジョン達成のために積極的に「人財」に投資をされています。その一連の取り組みの中で、ウィルソン・ラーニングのサービスの一つ、エンゲージメントサーベイとその結果からエンゲージメントを自分事として取り組んでいくことを促すリーダー向けのワークショップを導入していただきました。今回、会社の成長戦略と組織・人材開発を結ぶ戦略や、全体戦略におけるエンゲージメントの位置付けについて、株式会社ダイアナの高畑公志さんに弊社L&D事業本部 デザイングループ 副グループ長の久住がお話を伺いました。
高畑公志
株式会社ダイアナ 社長室長 兼 Team Happiness(採用・研修)
株式会社Dサクセッションパートナーズ 代表取締役
一般社団法人Beauty Ability Share 専務理事
久住達也
ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式会社 執行役員
L&D事業本部 デザイングループ 副グループ長
- 記載の所属・役職等は、インタビューおよびイベント当時のものです。
価値創造の源泉である「人」に投資し、会社のビジョンを達成する
久住: ダイアナさんが今後、会社をどう成長させていくのかビジョンをお聴かせいただけますでしょうか?
高畑: 私たちのゴールは、Diana Dream Vision 2030(以下DDV2030)の達成です。現在のコア事業を成長させつつ、M&Aや新規事業も含めて、2030年にグループ会社30社、約1000億の会社を作ろうと考えています。
ダイアナは女性のプロポーションメイキングの総合コンサルティング事業を営んでいます。全国に約750店舗あるフランチャイズ店舗を通して、「すべての女性に、美しくなる人生を提供する」という使命のもと、補整下着をはじめとする様々な商品やアドバイスによって女性の美をサポートしています。ダイアナは社員・パート約280名、フランチャイズが約750店舗、その先のお客さまが約10万人いる会社です。最近はBtoC事業に力を入れており、飲食事業、美容事業(美容室、フットケアなど)、アパレルなどの分野で業態を拡大しています。
美容や健康関連のサービスや商品の販売も行っていますが、私たちの価値創造の源泉は「人」です。人の成長が会社の成長と密接に関連しています。そこで、DDV2030の達成に向けて、評価制度、教育・研修、多様な働き方の実現、カルチャーの醸成に力を入れています。
久住: DDV2030のビジョン達成に向けて具体的にどのような人材開発を行っていますか?
高畑: 「一人ひとりが自立・自律でき、ご機嫌で活躍し、自走する組織」をテーマとして、OKRの導入やテレワーク・副業・時差出勤など、多様な働き方を支援する制度の構築を進めています。長時間働くことや頑張っているという定性的な判断で評価されるのではなく、会社とチームと個人が決めた目標に対して成果を出した人が正しく評価され、社員の一人ひとりがやりがいを持って働くことができる環境、キャリアや働き方を尊重した制度に繋がるよう、Team Happinessという組織開発、人材開発を行う部署が中心に取り組んでおります。
個人の目標と会社の成長目標、2つの目標が重なった上で、ゴールを達成していくことを大事にしたいと思っています。より個人の成長を加速させるために「ダイアナユニバーシティ構想」を掲げ、実現に向けて動いています。会社が社員に対して、参加する研修を一方的に指示するのではなく、キャリアアップに必要な内容を上長と相談し、会社のゴール、チームのゴール、個人のキャリア開発と照らし合わせながら自ら選択し、学べる環境を作ることを目指したものが「ダイアナユニバーシティ構想」です。
ダイアナには社員研修だけでなく、フランチャイズオーナー向けの研修が数多く存在しているため、それらも含めて、誰が見てもひと目でわかる人材育成のプログラムとして可視化、整備しています。いずれの施策もDDV2030に繋がるように心がけています。
久住: 人材開発の施策を検討する際の方針や思想はありますか?
高畑: 先にも申したように、ダイアナでは人材開発の大前提の考え方として「一人ひとりが自立・自律でき、ご機嫌で活躍し、自走する組織」という考えを持っています。上から言われてやるのではなく、自発的に動ける人を増やす施策は何か、を意識しています。もちろん、実現までの道のりには課題が山積みなので、Team Happinessとして一丸となって取り組んでいます。
久住: 人事や組織開発の部署の名前をTeam Happinessと名付けている理由はあるのでしょうか?
高畑: 会社によってハピネスの定義は違うと思いますが、社員と家族のような関係性を持ち、共に成長していきたいと考えています。そのためには社員一人ひとりがハッピーにならないといけない。そこで、Team Happinessと名付けました。遊び部といった会社公認のサークル活動も行っています。ゴルフやクルージングなど様々なアクティビティ(遊び)を通して社員間の繋がりを築いていきたいと考えています。また、それらも、自ら考えて、仲間意識の醸成に繋がる活動であれば、会社としての支援なども含め、検討をする体制は整えています。
DDV2030の達成と会社の一体感を高めるためにエンゲージメントに投資する
久住: ダイアナさんではエンゲージメントというコンセプトをどのように位置付け、捉えていますか?
高畑: エンゲージメントはロイヤリティ、忠誠心ではなく、一人ひとりが繋がって支え合うこというように捉えています。会社の一体感を作っていくために重要視しています。
久住: 今回弊社のエンゲージメントサーベイを管理職の方を対象に実施させていただきましたが、事前に立てた予想とギャップはありましたか?
高畑: 全体的にギャップはありましたね。私自身の話をすると、現在、Team Happinessのリーダー以外にも、社長室長、子会社社長などの立場にいます。会社の可能性を感じる仕事をしていますし、ダイアナを成長させていきたいという強い意志があり、可能性に溢れています。そのため、ウィルソンさんのエンゲージメント5つの要素のうち「オポチュニティ(未来の可能性)」は高いと自信を持っていました。メンバーやスタッフにも日常的に伝えているつもりでしたし、同じ気持ちだろうと思っていました。しかし、サーベイ結果を見ると私の認識とかなりギャップがありました。自分が可能性を感じるだけでは個人の満足で終わるので、いかにチーム全体、その先には会社全体で可能性を感じられる組織にするのか、そのためには日々の行動をどうすべきか考える必要性を認識しました。
ワークショップ後は、自分とメンバーの間になぜギャップがあるのか? と考えたり、話をする際に「本当に相手に伝わっているだろうか?」と日々の行動を振り返るようになりました。また、ワークショップの終わりにネクストアクションを宣言する機会がありましたが、そこで宣言した通り、現在自らのアクションプランとして「1on1ミーティング」を実践しています。
メンバーとは毎日話しているから1on1ミーティングをやって意味があるのか? 同じ部内で朝礼や業務の延長で話すことと何が違うのか? と半信半疑でした。しかし、メンバーと1対1、目を見ながら「どういうことをやりたいのか?」「どういうキャリアを作りたいのか」を意識しながら話すのでは、全く意味が違いました。
現在も、一週間に一回話すようにしています。私自身は、自分が話し過ぎてしまう傾向があります。おそらく最初の1on1ミーティングではメンバーも初めての取り組みで慣れていなかったためか、8割は私が話していたように思います。その反省点を意識して、今はなるべく自分が話さないようにと意識しながらメンバーとの1on1ミーティングに臨んでいます。
久住: ワークショップ後、高畑さんの周りではどのような変化がありましたか?
高畑: 毎朝部門で朝礼をやっており、その部門の上長の声でこのようなものがありました。「落ちているゴミを拾いましょう」という内容だったのですが、なぜ率先してゴミを拾うべきか、それが会社の成長にどう繋がるかを交えながら語っていたことが印象的でした。今までとは違う観点での話でしたので驚き、思わず聞き直してしまいました。サーベイの結果を受けて、意識が変わったのだと思います。視座が上がったと表現できるかもしれません。社員の視座が少しずつ上がっていくことは会社の成長に繋がると感じています。
Team Happinessは徹底的に人に向き合う
久住: Team Happinessとして人材開発に臨む上で気をつけられていることはありますか?
高畑: 社員の視点で見ると新しいことをどんどんやっている、面倒くさいなと思われる可能性があります。そこで、なぜこの施策に取り組むのか、その意味をメンバーに伝えないといけません。施策を実施するだけでなく、メンバーにしっかり向き合いなぜ重要なのか、個人の成長と会社の成長にどう繋がるかを社員が納得できるまで伝えていきたいと思っています。
久住: 人に対して真摯に向き合う姿勢を会社も高畑さんご自身もとても大切にしていることが伝わってきます。私たちのエンゲージメントの考えでも、リーダーがしっかりと施策を奨励したり、実現できるようサポートをしていく必要性があると考えています。高畑さんはそれを実践されていると感じました。リーダーとして社員の方に向き合う時、意識されていることはありますか?
高畑: 私が気をつけていることが2つあります。ひとつは相手の話を聴く時にしっかりと聴いている姿勢を見せることです。うなずきながらメモを取るなど、聴いているという姿勢を見ると話す側もその人に向けて話したいと思いますよね。
私もスーパーマンではないので、なんでもできるわけではありませんので、メモしながら相手の話をしっかりと聴く、など当たり前のことを実践していきたいと考えています。シンプルなことをしっかりと愚直にやることが重要ではないでしょうか。
もう1点は先ほども話しましたが、自分が話し過ぎてしまうところがあります。話を聴く時に「たぶん結論はこれだろうな」と思いながら聴く癖があるので、相手の話を聴く上で自身の思い込みを捨てるようにしています。もちろん、部下と上司という関係だと上司が教えたり、こっちの方が良いよとアドバイスすることはありますが、頭ごなしに「それは違う」とは言わない、思わないようにしています。一回話を聴いて、この人はなぜその話をしているのか、どのような文脈で話をしているのか読み取るように意識しています。
結果として、自分の気づきにもなります。伝えたつもりでも、実はメンバーに伝わってなかったということもわかりますからね。
久住: 今回、エンゲージメントサーベイ結果を活用したワークショップを受講してみて、いかがでしたか?
高畑: ワークショップの中で、メンバーのエンゲージメントに影響を及ぼすことができるのはリーダーであり、リーダーはメンバーの手本となるリーダーシップを発揮することが求められるという話がありましたが、エンゲージメントもリーダーシップも100年後に存在する企業でも同じことを言っているのではないでしょうか。この2つは今後も変わることのない本質的なものだと思う一方で、理解することが難しいとも感じています。声が大きい人はリーダーシップがある、ずっと会社にいる人はエンゲージメントが高い、と思っている人だっているかもしれず、人によって言葉の捉え方は違い、共通に理解することの難しさを感じています。
しかし、ウィルソンさんのワークショップの中でエンゲージメントの明確な定義があり、それを向上させるために必要な要素は5つであると整理して話していただいたことはわかりやすく、とてもよかったです。
リーダーシップを磨けと言われても、どうリーダーシップ力を上げるべきかはわかりません。なぜやるべきか?何をやるべきか?どのように向上させられるのか?この3つに対する答えをワークショップから学ぶことができました。社員も「エンゲージメントを上げるには、まずこの5項目に取り組めば良いんだ」と理解は得られたと思っています。リーダーシップやエンゲージメントの向上に取り組みたいけれど、何から取り組めば良いか悩んでいる方にはお勧めの内容だと思いました。ギャップから分析するという内容もジョハリの窓でいう、「自分の知らない自分」を知り、改善するための実践的なツールとして使えると思います。
久住: お褒めの言葉ありがとうございます。最後に、組織や人事に関わる方にメッセージをお願いします。
高畑: 私はMBAなどを通じて組織論も学びました。しかし、生身の人間には感情があります。これは学問の世界や理論だけではわかりません。「あなたの言うことは聞かないよ」と感情で反発する人もいます。組織で働く人の感情は現場で社員に向き合わなければわかりません。
専門家にサポートを頼む、同じようなことで悩む人が集まるコミュニティに出向くなど改善の方法はいろいろありますが、他社で同じ課題で悩み、行動されている方と交流することで人の感情にどう向き合うか、その解決のヒントが得られるのではないかと思っています。業種業界は異なりますが、感情などの人の心理に関しては普遍的で得られる学びが多いと思っています。ツールも重要ですが、真摯に人に向き合うことが一番重要だと思います。組織を変えるにはメンバーからの信頼も重要ですからね。
今回は、株式会社ダイアナが目指すビジョンと人材開発やエンゲージメントの位置付けについてお話をお伺いしました。
自社が目指すビジョンが明確にあり、そのビジョンの実現のための一つの手段としてエンゲージメント向上に取り組まれていることが印象的でした。また、自らの課題や組織の課題に真摯に向き合う姿勢、施策の重要性を伝え、自ら実践していくリーダーシップの重要性を改めて認識しました。
ウィルソン・ラーニングでは、会社の成長に寄与する組織開発・人材開発のソリューションを提供しています。エンゲージメントサーベイおよびワークショップもご提供しています。詳細について知りたい方は、ぜひお問い合わせください。