近年、ビジネスの進め方が顧客主導型に変わりつつあります。
顧客が自ら情報を収集し、企業を選考し、購買活動を行う環境において、営業の役割も変化しています。その中で求められるのが「マーケティングの視点」です。
本記事では、まずマーケティングとは何かについて説明し、その後顧客の購買行動の変化、マーケティングと営業の関係、そして営業がマーケティング視点を持つ必要性について考えていきます。
マーケティングとは
「マーケティング」という言葉をビジネスの世界でよく耳にする方も多いと思いますが、具体的にはどういうことを指しているのでしょうか。
マーケティングとは、企業などの組織が、顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにするための概念[1]です。これは、商品やサービスを顧客に販売するためのさまざまな手段や戦略を組み合わせたもの[2]とも言えます。要するに、顧客のニーズに応えて、商品やサービスを提供する仕組みを作ること、そのためのあらゆる工程、プロセスをまとめて「マーケティング」と呼んでいるのです。
顧客の購買行動の変化と営業活動の変化
顧客の購買行動は、この数年で大きく変化しました。
以前は何かを購入したいと思ったら営業担当者に接触して話を聞き、情報収集するところからスタートしていました。しかし今日では顧客自らがインターネットで情報を収集し、良さそうな企業を選定するようになったため、営業担当者に接触する段階で、顧客が既に基本的な情報を持っていることは当たり前になりました。
この変化により、販売側の行動も変化しました。顧客の潜在ニーズを引き出し、興味や関心を醸成するというロングスパンの営業活動は主にマーケティング部門が担い、営業担当者はニーズが顕在化した顧客へ向けた直接的な価値の提供とクロージングに注力する、といった棲み分けが主流になっています。
営業とマーケティングの関係性
商品・サービスを検討・購買する際に企業のマーケティング力は顧客に大きな影響を与えます。マーケティング部門が強い企業は、常に潜在的な見込み客を抱えており、営業担当者のアプローチは顧客のニーズが顕在化した時点からとなります。
しかし、すべての企業が強いマーケティング部門を持つわけではありません。
多くの営業担当者はマーケティング部門の役割を一定以上兼ねており、潜在ニーズの掘り起こしを含め、さまざまな課題を持つお客さまにどのように自分たちの商品・サービスを売っていくかを自ら考え、伝えています。
「マーケティング」とは、つまり「顧客のニーズに応えて、商品やサービスが売れる仕組みをつくること」です。
顧客の課題を読み解き、お客さまへ届けるための活動と言う意味では、営業もマーケティングも同じ目的を持っているのです。
営業がマーケティングの視点を持つことは、顧客が何を求めているのかを理解し、顧客への提案の質を高める意味で有効です。
ウィルソン・ラーニングの営業担当者向けの研修プログラムでは、マーケティングの専門家バーバラ バンド ジャクソンが開発した「購買行動スペクトラム」というフレームワークを使って顧客の購買行動を分析します。顧客の購買行動がどのようなもので、何に価値を置いているのかを理解する実用的なモデルです。
- サービスや商品を購入する時に、顧客が重視するポイントは何か
- 顧客の購買行動と、提案内容やアプローチの方法を一致させるにはどうしたらいいか
- 顧客の購買行動に影響を与える要因は何か
- それぞれの顧客の購買行動にフィットした販売戦略とは
それぞれの顧客の購買行動を分析し、その購買行動にフィットした付加価値の高い提案をどのように作り出すかを理解することが、効果的な販売戦略につながります。
まとめ
マーケティングの視点を持つことは、営業活動にとって不可欠な要素と言えます。
顧客の購買行動が大きく変化する中、営業担当者には、顧客の真のニーズを理解し、そのニーズに基づいて価値を提供できるマーケティングの視点が必要となります。そのためには、自身の役割を見直し、提供する価値を再定義し、顧客の視点に立った営業活動を展開することが求められます。その結果、顧客との良好な関係を構築し、自社のビジネス成果に貢献できるはずです。
営業担当者が学ぶべきマーケティングモデル購買行動スペクトラムとは
マーケティング戦略を専門とし、MIT スローン経営大学院の講師として教鞭をとっているバーバラ バンド ジャクソン(Barbara Bund Jackson)が開発したモデル。
購買行動スペクトラムと呼ばれる矢印のモデルを使い、顧客の行動が矢印上のどこに位置するか(固定位置ではなく動くこともある)を分析することで顧客が何を重視して、仕入れ元とどのような関係を築こうとしているのかを理解する手法。
この分析をもとに、顧客の行動に合わせた効果的なアプローチの方法やオファリングの内容を検討することができるため、営業担当者向けの研修において有効とされる。
顧客の購買行動分析をベースにしたプログラムは営業担当だけでなく、顧客接点のあるさまざまな職種に適用できます。貴社のオリジナル研修の中に組み込むことも可能です。
関心のある方はお問い合わせください。