多様な人々との協働に向けて(1) 相互コミュニケーションとしての交渉

2016年11月11日

交渉とはお互いの利害を共有し合う相互コミュニケーションのことである

”交渉”と言うと、特定の人間向きな印象ですが、実際はビジネスに限らず日常のさまざまな局面で発生しています。

営業活動における交渉、企業の合併と買収といった対社外の人だけでなく、社内の他部門や同僚との関係、 そしてプライベートでも発生します。
そういった交渉の場面において多く問題となってくるのが、相手の考え方や 価値観と一致せず話がスムーズに進まないということです。
そういった場面において、どのように協働し、 双方の問題解決に導いていくことができるのでしょうか。

①交渉の第一歩は「人」と「問題」を切り離すことから始まる

これはウィルソン・ラーニングがハーバード大学ネゴシエーション・グループのウィリアム・ユーリー博士と共同開発した研修コース「ハーバード流交渉術」の中で言っていることです。

「条件は良かったけれど、あの人の物言いが気に食わない」
「商品は気に入っているのだが、あの人からは買いにくい」

もし、こうした感情を相手に抱かせたとしたら、交渉は決裂するか、たとえ合意に達したとしても中長期的にはマイナス要因となることは明白です。

“お客様との価格交渉で値下げを強いられ、応じてしまう”
“相手の話を聞いて背景を踏まえた上での交渉が出来ず、自社利益が先行してしまう”
“相手に対し苦手意識があるため、交渉前に合意にたどり着くことを既にあきらめてしまう”

こういった現実のビジネスシーンで起こり得る事象は人が原因で双方が納得する問題解決への道筋をあきらめてしまっているケースです。
今回の交渉での直接的な利益にとらわれるあまり、パートナーとしての長期的な関係の構築ができず、その関係を崩してしまうことは実際の交渉現場でも起こり得ることでしょう。

交渉とはゼロサムゲームではなく、ウィン-ウィンのゲームと捉えるべきなのです。

その上で障害となりうる交渉相手に対する苦手意識や決めつけをなくし、自分が相手に柔軟に対応していくことが求められるのです。

②交渉とは信頼関係の元に、利害を追求すると定義し相手にアプローチしていくことが必要

では、交渉相手にアプローチし、対応していく上で何か指標となるモノサシはないのでしょうか。
ウィルソンラーニングでは、交渉の場面に限らず、対人関係の齟齬、軋轢を除くためのツールとしてソーシャルスタイルプロファイル という考え方を採用しています。
およそ50年前にアメリカの社会学者デービット・メレルによって研究開発された、ソーシャルスタイル理論の最大の特徴は、相手を変えるのではなく、相手を理解し自分のアプローチの仕方に多様性を持たせるという点です。

また自己診断ではなく、周りから自分がどう見られているのか知り、コミュニケーション上の課題解決に役立てるというのも特徴の一つとなります。

第二回となる次回はソーシャルスタイルプロファイル、人を見分ける客観的なモノサシを活用し、対人関係を円滑に進めるための4つの前提についてお話しいたします。

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